SULAWESI TRIBUTE 1988 [スラウェシ・トリビュート] Episode2
開催日:2024年9月2日〜22日
開催場所:インドネシア スラウェシ島
主催:sandglow
PHOTO & TEXT:竹村吉史(YOSHIFUMI TAKEMURA)
トラジャで貴重な文化体験をし、ハードコアに備える
我々がインドネシアのほぼ中央、赤道直下に浮かぶスラウェシ(旧セレベス)島南部の港町マカッサル(ウジュン・パンダン)に降り立ったのは2024年9月。蒸し暑く息苦しい東京と比較すると、赤道に近いためじりじりと暑いものの、空気はカラッとしていて過ごしやすく、日陰に入れば涼しい風を感じられるほどだ。集合地となった郊外に建つホテルの駐車場には、キャメルトロフィー仕様のランドローバーがずらりと並び、装備の最終チェックが行われていた。ここでグループリーダーのンチャック氏と合流し、同乗するランドローバーを見せてもらう。一見110ピックアップだが、話を聞くと1968年モデルのボディーが載せられたディスカバリー1だという。しかもエンジンはダイナやコースターなどに搭載された3,700ccの14Bディーゼルエンジンに換装されているのだ。元々非力なことで知られるランドローバーだが、果たしてどのような走りを見せてくれるのか楽しみになってきた。翌日はロジスティックディとして予定されており、スーパーなどで新鮮な野菜や卵、フルーツなどを購入して車両にパッキングする。マカッサルの街中はなかなかのカオスぶりで、道路には三輪バイクのベチャやバイク、そして自動車が溢れ、交通の流れも無秩序の中に秩序が存在する不思議な世界だ。
空が澄み渡る朝、ウォーターフロントでスラウェシ・トリビュートのセレモニーイベントが開催され、フラッグオフしたコンボイは、陣形を整えつつ2日間かけてコーヒーの産地で有名なトラジャに到着。トラジャ族が住む舟形屋根を持つトンコナンの横をキャンプ地とし、トラジャ族の洞窟墳墓ロンダや、伝統葬儀のランブソロを見学した。ロンダには頭蓋骨や人骨が散乱し、洞窟内に置かれた真新しい木棺には、亡くなって間もない若い女性の遺体が収められ安置されている。その様な環境に置かれることのない我々にとっては少々驚かされるが、トラジャ族は風葬文化のため、このような形が一般的なのだ。その後、ランブソロに立ち会うことができたが、とても盛大な葬儀に驚かされた。トラジャ族の死生観は我々とは異なり、亡くなることは来世に行くステップと捉えられ、その死を迎えるために今を生きていると考えられている。この世でのお別れは寂しいが、めでたい事として派手な葬儀が開かれるのだという。
観光を終えてキャンプ地を離れた我々は、ようやく1988年のキャメルトロフィーでも使われたミシリアナホテルに到着。チェックインを済ませ、明日のスタートセレモニーの準備やブリーフィングなどで忙しい時間を過ごす。いよいよ明日は、スラウェシ・トリビュート最大の難所プルプルトレイルに踏み入るのだ。プルプルトレイルは、幻のコーヒーとして知られる最高級のアラビカ種コーヒー豆「トアルコトラジャ・プルプル」が生産される秘境プルプル村に向かう廃道を差し、そのバルップル村とプルプル村を結ぶ全長7kmほどのオフロードを走破するのに5日ほど要すると事前から脅されているハードコアルートだ。路面の荒れ具合は相当なものだが、それにも増して標高1,800mから2,200mまでを上下する険しさが難題だという。

トラジャ南部のオフロードコースを併設したセコンヒルキャンプ場で初キャンプ。国によってキャンプの流儀が異なるため、周囲の空気を読みながら準備をすすめる。

1988年大会以来36年ぶりにマカッサルのゴールデンホテル前に立った元日本代表の関口徹氏は、断片的でかすかな記憶を甦らせ、現地のメディアインタビューに答えていた。

立派な舟形家屋のトンコナンとルンブンが立ち並ぶ村の横でキャンプ泊となった。村人による歓迎会では、現地料理のちまきやトラジャコーヒーを頂くことができた。

キャンプ場で課外授業に来ていたトラジャ族の娘さん達と交流するメンバー。チームリーダーのンチャック氏は、彼女達に夕食を振る舞っていた。

特異な死生観を持つトラジャ族の洞窟墳墓ロンダを訪問。洞窟の入口には、死者を模した人形が置かれており、崖には棺桶がいくつも吊されている。

洞窟内の岩棚に置かれた頭蓋骨。足元にも人骨は散らばっており、奥には新しい棺桶も見える。

貴重なトラジャ族の葬式ランブソロにも参加することができた。開催前のため人が少ないが、葬儀式典が始まると人で溢れかえった。この葬儀は数日間続き、豚や水牛が供え物として裁かれ振る舞われる。

私が同乗させてもらったチームリーダー・ンチャック氏のランドローバー。エンジンはトヨタ、シャーシはディスカバリーという魔改造ディスコ?



