33rd BORNEO SAFARI INTERNATIONAL OFFROAD CHALLENGE 【ボルネオサファリ2025】EPISODE 6 OF 7
開催日:2025.10.26~11.2
開催場所:マレーシア サバ州(ボルネオ島)
主催:SFWDA(SABAH FOUR WHEEL DRIVE ASSOCIATION)

PHOTO&TEXT:竹村吉史 PHOTO:ARIANNIE CHARLES SPECIAL THANKS:SFWDA
熱帯雨林のボルネオ島でリアルジャングルを満喫
アジア各地で開催されるクロスカントリーイベントは、過酷なリアルジャングルを舞台に行われることで世界に知られているが、その筆頭とも言えるのがマレーシアのサバ州で開催されるボルネオサファリだ。2025年の大会では、1,800人を超えるオフローダーたちが各々の4×4にレスキュー用品や8日分の食料を満載し、ジャングル奥深くまでコンボイで入っていった。

コンペティションマシンはもはやオフロードのF1だ!
ナバワンでは、コンペティション部門のスペシャルステージ(SS)がプロローグステージとして一般観戦の元で開催された。この観戦にはナバワン地区ばかりでなく、遠方からも1,000人を超える観客が集まり、SSステージにアタックするコンペティションバギーの迫力ある走りに歓声を上げていた。ボルネオサファリのコンペティションは、アジア地区で開催されるクロスカントリー競技のマスターピースともいえるもので、1台のマシンにドライバーとコ・ドライバーが乗車し、コの字に囲まれたスターティングボックス内でドライバー自身がスタートボタンを押してスタートするスタイルだ。様々な難所が織り込まれたSSを制限時間の10分以内にゴールしなくてはならないため、ドライバーとコ・ドライバーはインカムを通して連携し、ウインチやグランドアンカーを駆使しながらアタックするとても過酷なレースとなっている。そのためコンペティションマシンはハードなSSをクリアしつつ、ジャングル内をコンボイで移動しなくてはならないため、耐久性も重視した究極のクロスカントリーマシンに仕上げられている。
マシンの多くはスズキのエンブレムやジムニーのボディパーツを付けているものの、中身はワンオフ製作されたパイプフレームとなっている。ひと昔前まではジムニーのフレームを活かしたバギーが台頭していたが、近年はより改造の自由度が増すパイプフレームに移行しているのだ。最近はメガクルーザーのインディペンデントサスを移植するマシンも出てきたが、ボルボC303のポータルアクスルを強化したものが現時点で最強とされている。そのフロント用ポータルアクスルをリアに移植し、フルハイドロラムシステムで4WS化されたマシンも多い。なおリアブレーキターンを可能にするため、リアディスクブレーキはツインキャリパー化されている。またエンジンはコンパクトな車体に似合わず、ハイパワーディーゼルエンジンが搭載され、ドライバーがシフトとクラッチ操作から解放されるATと組み合わされている。その他、防水対策としてインテークシュノーケルの装着や、ECUなど電装品を車内ルーフに移動するなど、考え得る最良の方策がとられている。そして特徴的なのが、タイヤの回転と同期した超ハイスピードP.T.Oウインチをフレームのリアセクションにビルトインしていること。このウインチがあれば、90度近い壁でも一瞬で駆け上ってしまう。もはやクロスカントリーマシンのF1とも言える仕上がりなのだ。

コンペティションのSSは、このような水場も使われる事もあるため、マシンには効果的な防水性が必須となる。SSで使われるセクションの距離は短く、10分以内でクリアできる程度。

ジムニーSJ10顔をしたコンペティションマシンだが中身は別物。トヨタの4気筒ディーゼル1KDエンジンが搭載されている。

前後のアクスルはボルボ製の軍用車C303のポータルアクスルを装着。大径タイヤと相まって脅威のグランドクリアランスを実現している。ステアリングはハイドロラムステアのため、軽い操舵力でステアリングを切ることが可能。

リアもハイドロラムステアが装着され、戦闘力の高い4WSシステムとなっている。リアセクションには燃料タンク、P.T.Oウインチ、ラジエータのほか、グランドアンカーやハイリフトジャッキなども積載されている。

中央に見えるのがP.T.Oウインチの大型ドラム。ドラムの左側に見えるのが駆動ギアだが、プラドなどのデフが利用されている。なお断切機構はドグクラッチ式で、ワンオフ製作されることも多い。

こちらはチームジャパンのマシンだが、P.T.Oウインチに加え、電動ウインチも装備している。ウォーンM8274スタイルだが、タイの新興メーカー・トルキーウインチ製。高出力なツインモーター式で、巻き取り速度も可変式と凝ったモデルだ。

SSのスタート風景。テント前のコの字にコーステープを張ったところがスタート&ゴール地点となる。計測はデジタルの電光掲示板で正確な計時が行われる。

スタートとゴールはドライバー自身がボタンを押すスタイルのため、計時に対するクレームは皆無。

ジャングルに入る最後の町ナバワンで一般公開されたプロローグSSには、1,000人を超える観衆が集まり、コンペティターの熱い走りに大歓声をあげていた。

距離は短いがこんなに水深のあるセクションが設定されることもある。そのため、ECUや電装系をルーフ近くに移設し、水によるトラブルを避けている。

コースディレクターのジェームス氏からSSに対する注意点が伝えられる。このドライバーズミーティングは、SSエリアが移動する毎に行われている。

SSは泥、土、岩、水、そして崖など、様々なロケーションで設定されるため、コンペティションマシンには、あらゆる状況にも適応できる万能なオフロード性能が求められる。

コンペティションマシンのタイヤは、エクストリームタイヤを更にグルービングでブロックを飛ばし、オフロードに特化させるチューニングが施されている。




