4x4MAGAZINE電子書籍版Vol. 17掲載

G-CLASS(W460)
当初は軍用車としてリリースされ、1981年に市販化された。
今も変わらない
スタイルとメカニズム
Gクラス(W460 )は、当初NATO制式軍用車“ゲレンデワーゲン”として、ダイムラー・ベンツとオーストリアのシュタイヤー・ダイムラー・プフによって共同開発された4×4だ。生産は1979年からシュタイヤー・ダイムラー・プフのグラーツ工場でスタートし、民生モデルが欧州で販売されるようになったのは1981年からである。
頑強なラダーフレームの上に、見切りの良いスクエアなボディーを乗せたボディーオンフレーム構造で、前後サスペンションはコイルリジッド。4×4システムは、2速トランスファーを備えたパートタイム4×4を採用。ローレンジ直結モードに加えて、前後デフにメカニカルロック機構を備えており、抜群の悪路走破性を発揮した。
頑丈なフレーム構造と機能的なボディースタイル、そして悪路走破性を大幅に高める前後
デフロックは現行モデルに至るまで大きく変わることなく踏襲されており、どんなに高級化や快適化が進んでも、本格4×4としての造りには変節がないことが、今でも多くのユーザーから支持される理由となっている。


70年代に制作されたゲレンデワーゲンのコンセプトスケッチ。

ロングホイールベースのステーションワゴン81年モデルの280GE。直6ガソリンを搭載した上級モデルである。


ラダーフレーム、前後コイルリジッド、2速トランスファーというクロスカントリカーとしては王道の組み合わせ。この構成は、現行モデルまで不変だ。

初代Gクラスの4×4システムはオーソドックスなパートタイム4×4。


軍用として開発されたGクラス。抜群の走破性と耐久性を実現した。
当初のモデルラインナップは、2.3リッター直4ガソリンの230Gや2.4リッター直4ディー
ゼルの240GDがメインで、1981年には2.3リッター直4ガソリンモデルがフューエルインジェクション式の230GEとなった。
エンジンは、年式、仕向け地によってバリエーションが増え、1992年の生産終了までに、2リッター直4ガソリン、2.8リッター直6ガソリン、2.5リッター直5ディーゼル、3リッター直5ディーゼルが搭載された。
日本で正規輸入がスタートしたのは1987年で、そのラインナップは230GEショートと300GDロングの2モデルであった。

W460のボディーバリエーションは、ショートホイールベースに幌、ワゴン、バン、ロングホイールベースに4ドアワゴン、2ドアバンが用意された。

軍用ベースだけに内装は簡素。デフロックの作動ランプがメーターパネルにある。

W460のセンターコンソール。右がシフトレバーで左がトランスファーレバー。サイドブレーキの横にある2本のレバーは、前後デフロックの切り換え用レバー。なお、PTOもオプショ
ンで用意されており、PTOの操作用レバーはトランスファーレバーの左側に設けられていた。


1980年にバチカンに納車されたローマ法王専用Gクラス。通称「パパG」。

G-CLASS (W463)
2004年型の2代目Gクラス(W463)。大型のオーバーフェンダーがW461との違い。
フルタイム4×4を採用
ゴージャス化も加速する
1989年、Gクラスは2代目(W463 )にモデルチェンジをする。モデルチェンジと言っても、ボディーとシャーシーはほぼ先代を踏襲しており、大きな変更点は、4×4システムがフルタイム式となったことと、インテリアがより乗用車ライクなデザインとなったことである。装備の快適化やラグジュアリー化も積極的に採り入れられるようになり、ABSやエアバッグなどの安全装置も装備するなど、世界的に高まりつつあったSUVブームの波を受けて、一般ユーザーをより意識した造りとなった。

1993年に特別限定車として発売された5リッターV8エンジンを搭載する500GE。

木目パネルやフルトリムの採用など、豪華になったインテリア。

デフロックスイッチは、センターコンソールからダッシュ中央へ移設。
W463は、AMGによる豪華仕様のチューニングモデルも設定されるようになり、エンジンや
インテリアの変更を重ねながら、現在まで生産される超ロングセラーとなっている。日本に
導入されたモデルは、初期が3リッター直6ガソリンのショートとロングで、エンジンはこれまでに3.2リッター直6、3.2リッターV6、5リッターV8などが搭載されている。また、ショートモデルは2000年代半ばにラインナップから消えてしまった。

G-CLASS(W460 & W463)
W460幌(左)とW463幌(右)。W463では電動開閉式の幌が採用された。
乗用モデルのW463に対し、軍用および探検調査用モデルも1992年にW461へとモデル
チェンジを果たしている。
ただし、こちらは従来同様パートタイム4×4を採用しており、従来モデルから大きな変更は施されていなかった。装備のアップデートとオプション装備の拡充が主な目的であり、ショート、ミドル、ロングという3つのホイールベースと7タイプのボディーバリエーションが用意された。
そして、このW461も2000年あたりからフルタイム4×4が採用されており、ほぼW463と同じシャーシーとなっている。
W461は、2010年から欧州などでGクラス・プロフェッショナルという名前で民生モデルとして市販がスタート。3リッター直4ターボディーゼルを搭載した4ドアロングモデルで、シュノーケルと背面タイヤを標準装備するほか、PTOやウインチまで用意されている実にオフロードオリエンテッドな4×4だ。今や超高級車となったW463に対して、もっともGクラスらしいキャラクターを残しているモデルと言えるだろう。

G-CLASS PROFESSIONAL (W461)
W461の民生用モデル。ルーフラックはオプション装備。

Gクラス・プロフェッショナルの駆動系の切り換えスイッチ。外見に似合わずモダンなインターフェースを採用。

W463とは異なるインテリアと操作系。



