TOYOTA BJ 1951-1954
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
世界のランドクルーザーの原点
トヨタ車の中でいちばん長い間使われているクルマの愛称は
「クラウン」でも「コロナ」でもなく「ランドクルーザー」である
’51年1月の試作車完成以降、半世紀以上にわたって市場をリードし
今や世界中を走るランドクルーザーの原点がBJなのだ
トヨタ、日産、三菱に訪れた四輪駆動車入札のチャンス
1950年(昭和25年)6月25日、突如北朝鮮軍が韓国に侵入し、朝鮮戦争が勃発した。それを受けて同年8月、日本では自衛隊の前身である警察予備隊が発足。このとき日本にあった占領軍(米軍を主体とする進駐軍)と警察予備隊は、ジープ型四輪駆動車の国産化を要望。そして、トヨタ・日産・三菱の3社が入札に臨んだ。
そのために急遽開発を進めることになったのが、当時のトヨタが戦前から生産していたSB型トラックをベースとしたBJ型ジープである。’51年1月にBJの試作車は完成したが、入札の結果は、三菱がウイリス社のライセンス生産をするウイリス・ジープCJ3Bに決定した。
しかし、これはトヨタ・ジープの挫折を意味するわけではなかった。少々のブランクはあったが、国家警察用のパトロールカーとしての採用が決まり、これがきっかけとなって消防車や無線車が官庁にも納入され始める。そして、徐々に電力会社などを中心にして一般企業にも受け入れられるようになっていったのだ。
その後、「ジープ」という呼称がウイリス社の商標登録だということが判明し、’54年に「陸の巡洋艦」という意味を込めて、ランドクルーザーと改名された。後にこの名に恥じることのない活躍を世界中で果たすことになるのは誰もが知るところだろう。ちなみに、クラウンは翌’55年1月から販売が開始されている。ランクルの歴史は、クラウンのそれよりも若干だが長いのである。

アマガエルのような色をしているが、もちろんこれは当時のオリジナルではない。レストア時に塗装し直されたものだ。

この時代の軍用車では標準的だったスイングアウト式のフロントウインドゥ。開度調節器も取り付けられている。
完成度の高かったBJ 走破性はピカイチだった
トヨタ車の型式の読み方として、アタマの記号がエンジンで、次の記号がシャーシーを表すことはよく知られている。BJの場合は、B型エンジンとジープ型シャーシーと読みとれるわけだ。
ランクルでB型といえば今日一般には40系や70系に搭載されていた2B型や13B-T型など、ディーゼルエンジンをイメージする。しかし、このB J型ジープのB型は、ウェポン・キャリアと同じB型エンジンのことで、82H P/3200rpmを発揮するガソリン仕様である。当時のトラック用エンジンをそのまま流用したわけで、ローレンジを持たないトランスファーでも本家ウイリス・ジーぷを上回る走破性を持っていた。
当時は斬新だったOHV 心臓部は強化を重ねた
ジープCJ3BのJH4型エンジンがFヘッド(サイドバルブの一種で、吸気弁が燃焼室にあり、排気弁がシリンダーヘッドの脇にある形式)であるのに対して、トヨタBJ型ジープのB型エンジンはOHVが採用された。
B型エンジンは’37 年に設計され、GB型やBM型といった多くのトラックに採用され、翌年に試作機が完成した。開発当初こそ75HP/3200rpm・21kgm/1600rpmというスペックだったがその後改良が重ねられ、82HP/3200rpm・21・6kgm/1600rpmになった。さらに後期のエンジンでは85HPにまでパワーアップされている。’55年末からランクルに搭載されるようになったF型エンジンもこのB型から発展したものである。

乗用車に比べてタイヤはずいぶん重い。そこで、マウントを補助し、脱着を容易にするための受け皿が設け

フロントウインドゥを倒したときに、それを固定するキャッチが装備されている。「紐で縛る」ジープと異
頑丈な骨と脚で誕生時からの過剰品質神話
BJのシャーシーのベースとなったのは1トン積みのトラックであった。このトラックは、小口貨物輸送や乗用車的な使用が想定されており、乗り心地の良さを考えてサスペンションにはそれなりの配慮がなされていた。もちろんスプリングも乗用車のように柔らかく、小回りも利いた。この特徴は、そのままBJにもにも受け継がれている。
BJ型ジープは1/4トントラックに分類されるが、荷役が主目的とは考えられていない。よってソフトなサスペンションは、4輪をバランスよく接地させることに専念できる。
ランドクルーザーはこの後車種バリエーションが増えて、重労働に耐えるための固い脚に変化していったが、それらに比べれば遙かにしなやかなものである。ただし、いくらしなやかだといっても、1トントラック用のシャーシーを使っているのだから、その頑丈さは推して知るべしだ。ランドクルーザーの過剰品質神話はBJの時代に生まれたものだと言えるのだ。
そして、頑丈さだけだB Jはスタイルの美しさも兼ね備えている。半世紀以上前のものながら、その美しさが古びていないのは、機能を追求したからこそ生まれてきたものだからだろう。
高い走破性を持ちながらも、しなやかな動き。そして美しいスタイル。


スプリングはフロントが9 枚、リアは10枚のリーフで構成される。リーフ・リジッド式はこのころ「ホチキス式」と呼ばれていた。

エンジン手前側にディスビや燃料ポンプが集中するのは、これらの駆動をブロックに埋め込まれたカムシャフトが行うため。

リアシートはフロントシートより一段高い位置に座面が設けられる。また、助手席とリアシートの下には収納スペースがある。

これほど「機能美」という言葉が似合う場所はない。そこにあるのは、必要最低限の計器と、スイッチとレバーだ。

6.00×16 という細身・大径のタイヤだが、当時の4×4としては典型的なサイズである。

ペダルは踏み込み式。次代BJ20系からは、吊り下げ式になった。ライトのHi/Loはペダル下のボタンを踏んで切り替える。

左から水温/電流/速度/油圧/燃料の各メーター。下はパネルライト、スロットル、ライティングなどのスイッチ。

レバーは手前からパーキングブレーキ、トランスミッション(4速)、トランスファーだ。
SPECIFICATIONS
- 全長×全幅×全高: 3,79 3×1,575×1,900mm
- ホイールベース: 2,400mm
- トレッド: 前/1,390mm 後/1,350mm
- 最低地上高: 210mm
- 車両重量: 1,425kg
- 乗車定員: 2名
- 形式: 水冷直列6気筒OHV
- 圧縮比: 6 6 .4:1
- 最高出力: 8 8 5HP/3.200rpm
- 最大トルク: 216Nm(22.01kgm)/1,600rpm
- 燃料/タンク容量: 無鉛ガソリン/41.6l+補助20L
- トランスミッション形式: 4速MT
- 変速比: 1速:5.53/2速:3.48/3速:1.71/4速:1.00/後退:5.60
- 駆動方式: パートタイム式4×4
- 副変速比: Hi:1.000
- 最終減速比: 4.11
- ステアリング形式: ウォーム&ローラー式
- サスペンション 前:リジッドアスクル式リーフスプリング
- サスペンション 後:リジッドアスクル式リーフスプリング
- 主ブレーキ: 前:ドラム 後:ドラム
- タイヤサイズ: 6 .00-16 (6PR)



