33rd BORNEO SAFARI INTERNATIONAL OFFROAD CHALLENGE 【ボルネオサファリ2025】EPISODE 7 OF 7
開催日:2025.10.26~11.2
開催場所:マレーシア サバ州(ボルネオ島)
主催:SFWDA(SABAH FOUR WHEEL DRIVE ASSOCIATION)

PHOTO&TEXT:竹村吉史 PHOTO:ARIANNIE CHARLES SPECIAL THANKS:SFWDA
熱帯雨林のボルネオ島でリアルジャングルを満喫
アジア各地で開催されるクロスカントリーイベントは、過酷なリアルジャングルを舞台に行われることで世界に知られているが、その筆頭とも言えるのがマレーシアのサバ州で開催されるボルネオサファリだ。2025年の大会では、1,800人を超えるオフローダーたちが各々の4×4にレスキュー用品や8日分の食料を満載し、ジャングル奥深くまでコンボイで入っていった。

冒険好きオフローダーなら一度は参加すべきイベント
ナバワンで車両とジェリカンの燃料を満タンにし、ジャングル奥地のトンゴットに向かう。森を縫うように走る舗装路がダート路になり、いくつかの小さな村を過ぎると油椰子が整然と立ち並ぶパームオイルプランテーションに入る。人為的に作られたいくつもの分岐を抜けると、突然油椰子が消えて雑然とした様相になってきた。いよいよリアルジャングルである。
ダート路がバンピーな路面となった頃、鬱蒼としたジャングルが開けて蕩々と水の流れる幅100mほどの河が現れた。対岸に道路が続く河床路なのだが、最近の増水でアプローチが深い泥で埋まり、水量も多く水深もかなりあるため、エクスペディションリーダーの判断で迂回する決断が下された。迂回距離は30~40kmもあるが、リスクを冒してコンボイがスタックするより、時間も犠牲も最小限に抑えられる迂回を判断したのだ。
ふたたび深いジャングルを進むと、突然ルートが途絶えた。いや、草や枝をかき分けると獣道のような小径があるではないか。そこからは「藪漕ぎ」で前進する事になった。その後も突然15mほどの崖下りや壁のようなウインチングセクションが次々と現れ、過負荷の続くウインチングにさすがのP.T.Oウインチも不具合が頻発し、残されたウインチ車を大切に使いながら山河を越えていく他なかった。スコールに打たれ、ロールプレイングゲームのように終わりの見えないレスキューを繰り返していると、前方にテントを展開するコンボイグループが見えてきた。巨大な丸太橋が崩落し、大渋滞が発生していたのだ。闇夜の中、渋滞の先頭まで確認しに行くと、先行グループが泥まみれになってウインチングアタックしている。どうみても今晩中の通過は見込めないため、ここをキャンプ地として翌朝アタックすることになった。
蒸し暑さで目が覚めてテントから這い出ると、昨晩の渋滞がすっかり無くなっており、他のコンボイチームが夜通しウインチングで谷を越えた事を知る。崩落現場では大型バックホーが崩落した谷の一部を崩してアプローチ路を作っており、1時間ほどで完成したアプローチを使い、我々も無事対岸に渡ることができた。その後も崖越えや渡河、モーグルを走破し、ハードコアルートのジャンクションとなるピナンガ・フォレスト一級保護区を目指す。エンジントラブルやビート落ち、そして丸太橋が崩れたり脱輪したりと非日常のイベントを満喫しながら前進を続け、ついにピナンガに到着。上空に独特な鳴き声を上げながら悠々と飛ぶホーンビルズ(サイチョウ)が現れるなど、そこはまさにジェラシックパークさながらだった。
このような非日常をドラマのように体験できるのがタグ・オンと呼ばれるエクスペディション部門だ。余りの過酷さに人車共に音を上げてしまうボルネオサファリだが、それ故にジャングルを抜け出たときの達成感や感激も比例して大きい。参加者全員が主役で勝者と言われるのは、ボルネオサファリで得るものが余りにも大きいからだろう。機会を作ることができるなら、ぜひ一度、ボルネオサファリに参加することをお勧めしたい。

油椰子プランテーションから広く整備されたオフロードが続く。これはティンバーロードと呼ばれ、過去に木材を搬出していた道だ。町の近くはこのように整備されているが、ジャングルの奥深くへ進むに従い、細くなってラフロードとなる。

ひと月ほど前に降った大雨によって河床路のアプローチが埋まり、水深も深くなっているため、エクスペディションリーダーのアンソニー氏は30~40km大回りとなる迂回を判断。

迂回路だと油断していたら、突然崖のような急坂が現れた。人が降りるのも大変な坂を、荷物満載の車で降りなくてはならない。このあたりからボルネオサファリらしい緊張感が生まれてくる。

ただただ落ちるだけのダウンヒルだが、タイヤをロックさせないよう慎重に下る。下った後は急なヒルクライムが待っていたが、全車ウインチングでクリアした。

今晩は広い平地でキャンプとなった。車で草を平し、メンバーと大型タープを展開する。タープの下にコットを置いてキャンプするのがボルネオサファリスタイル。

タープの下にコットやコットテントを設置して就寝スペースを確保。我々が持って行ったコットテントは、足の幅が狭く就寝中に横転してしまった。次回はボルネオでコットテントを仕入れたほうが賢明だ。

日々ジャングルの奥に前進する。荒れた地形でスタックしたりウインチングしたりと、思いの外慌ただしく一日が過ぎゆく。毎晩、大いびきをかきながら熟睡していた。

目的地に向かうため、落ちた橋を補修しながら前進する。この作業が地味に体力を奪い、夜には疲労困憊してしまうが、作業自体は仲間たちと協力して行うので楽しいのだ。

アメリカ、タイ、インドネシア、フィリピン、ニュージーランドなど各国のメディアが揃うなか、エクスペディションリーダー・アンソニー氏提案の開通式が行われた。橋の補修に苦労しただけあって大いに盛り上がったが、二台目の通過時に再び橋が壊れたのはここだけの話。

画像右側に見える巨大な丸太でできた丸太橋が崩落し、コンボイが足止めを食った大きな沢。多くのメンバーは夜通しのウインチングで超えて行ったが、我々は翌朝にバックホーで作られたアプローチを使ってクリアした。

ハードなオフロード走行にマシントラブルはつきもの。若いメカニックのワンくんは、コンボイが止まったタイミングで即座に修理する優れたメカニックだった。

渡河の際、澄んだ水を見つけたら、洗い物などに使う水を補給する。ジャングルには水道がないため、このような知恵を働かせて生き延びるのだ。

コンボイにはメディカルチームが同行するので、安心して過ごせる。会期中盤、疲れが見えてきた頃にメディカルチェックが実施される。ヒデもイヴァン先生にメディカルチェックを受け、まだまだ頑張れると太鼓判をもらっていた。



