ニッサンパトロール G60B 1960-1980
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
生まれたときから海外通
1960年から20年もの長い時間を走ったパトロール
作られた数は少なくなかったが、出会うチャンスは多くない
世界の、作業車として、運搬車として、消防車として
働く現場でばかり愛されたオフローダー
積載量に応じるラインナップ 太いトルクを3速MTで操る
サファリのスタートポイントは50年以上も昔の話だ。1951年に警察予備隊への入札に挑んだパトロール4W60がそのルーツ。4W60はその後4W66となったが、スタイルは相変わらず「ジープ」のまま。そんなパトロールが60系へと大きく様変わりしたのは’60年のことだった。
それまでと異なり、メタルドアに幌屋根というスタイルで登場した60系。そのシリーズは大別して、ホイールベース2200の60型と2500のG60型があった。このうちG60型には最大積載量250kgのG60Aと、同750kgのG60Bが用意されていた。運搬業向けというより、専門分野で働くクルマとしての架装を想定したラインナップだったのだ。
60系に搭載されたエンジンは、直列6 気筒O H V のP型。排気量は3956ccで、ボア85.7 に対しストローク114.3 という、ディーゼルエンジン顔負けの超ロングストロークとしていた。圧縮比7.6対1からの緩やかな燃焼圧力で腕の長いクランクを回し、作業車に望まれる豊かな低速トルクを生み出したのだ。
この大トルクエンジンのおかげで3速しかないMTでも各ギアの守備範囲は充分なもの。走らせ方は、エンジン回転を引っ張って走るのではなく、早めのシフトアップとこまめなシフトチェンジを心がけること。そうすれば、市街地から高速道路まで、不満なくドライブできた。

ほとんどが官公庁向け ヘビーデューティーでもソフトライド
取材車両は’75年式のG60B。前席は2対1分割のベンチシートで3名がけ、後席はひとつ3名がけの折り畳み式ベンチが左右のホイールハウス上に設置されている。
エンジンのアイドリング音は思いのほか静か。回転バランスが理想的な6気筒ということもあるが、頑丈なシリンダーブロックが音や振動を抑え込んでいるようでもある。
わずか1600rpm で繰り出される最大トルクを使うまでもなく、ゆっくりクラッチをつなぐだけで逞しい前進が始まった。ストロークの小さいアクセルを軽く踏み込むと、大排気量のガソリンエンジンらしく、図太い排気音が腹に響いてくる。
あまり回転を上げずに2速、3速と小刻みにシフトアップしていくと、すぐに交通をリードする速度に達する。高速での巡航もたやすい。パワーを絞り出す小さなエンジンとは違って、余裕をもって流せるのだ。
乗り心地は良好だ。750kg積みの硬いバネはヘタっていないのに路面の荒れ具合を適度に吸収してくれる。働く乗員のことも考えた設定なのだろうか?
パトロール60系は、決して生産台数の少ないクルマではなかったが、多くは輸出され、国内では官公庁向けがほとんど。経済性や社会の雰囲気からしても個人で持つクルマではなかった。したがって現存する個体はきわめて少ないのだが、それに憧れるファンは多い。
わずか1,600rpmで発揮される最大トルク乗り心地も作業車とは別次元の心地よさ

駆動系の位置に合わせるためか、 やや後方を下げてマウントされる P型。 分厚いラジエターの方が存在感が大きい。

愛嬌満点のマスク。おちょぼ口に見える穴は、万一の場合にクランク軸に棒を差し込んでの手動スターター用。

テールランプは保安基準改正後のコンビネーションタイプ。 オフロードで壊しそうな場所にあるのが心配。

スイングアウト式のスペアタイヤキャリアはボディーと2 か所で固定されるため、悪路走行時にもガタつかない。

夏に便利な蹴飛ばし式のサイドベンチレーターが備わる。ボンネット脇のスリットは4W60から受け継いだ形。

クルマというより作業機械の運転台。見ているだけで楽しくなってしまう。インパネは左ハンド仕様と共用だ。

中央の2本(右:4×2と4×4の切り替え、左:ハイ/ ローレンジの切り替え) が4 × 4システム用のレバー。

ソフトなサスペンションのおかげで悪路ではタイヤを浮かせることが少ないため、走破性はあなどれない。

希少価値の高いG60B 積載量の大きいG60Bは荷台をヘビーに架装されるケースが多かったはず。このようにオリジナルのスタイルで残っているものは極めて少数だ。
SPECIFICATIONS
- 車名/年式:日産パトロール(G60B)/1975年
- 全長×全幅×全高: 4,950 × 1,955 × 1,900mm
- ホイールベース: 2,500mm
- トレッド: 前/1,382mm 後/1,404mm
- 最低地上高: 225mm
- 車両重量: 1,660kg
- 乗車定員: 3(9)名
- 形式: 水冷直列6気筒OHV ガソリン
- 総排気量: 3,956cc
- 内径×行程: 85.7 × 114.3mm
- 圧縮比: 7.6:1
- 最高出力: 130PS/3,600rpm
- 最大トルク: 30.0kgm/1,600rpm
- 燃料/タンク容量: 無鉛レギュラーガソリン/65L
- トランスミッション形式: 3 速MT
- 変速比: 1 速: 2.500/ 2 速: 1.562/ 3 速1.000/ R : 4.015
- 駆動方式: パートタイム4 × 4
- 副変速比: Hi : 1.000 Lo : 2.264
- 最終減速比: 4.100
- ステアリング形式: ボール・ナット式
- サスペンション 前: リジッドアクスル式リーフスプリング
- サスペンション 後: リジッドアクスル式リーフスプリング
- 主ブレーキ: 前: ドラム 後: ドラム
- タイヤサイズ: 6.50-16
- 車両本体価格: 1,302,000円(当時)



