三菱ジープ J57 1981-1986
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
三菱ジープ史上最強のエンジンを搭載
三菱ジープ誕生から30 年目の’80 年
排気量拡大版の新型エンジンを搭載したJ57 は
史上最強のジープとして記憶に留められることになった
排気量を最大限にアップ 120PSのパワーを絞り出す
1953年に始まる三菱ジープ史上、もっとも強力なエンジンを搭載したモデル。それが、’80年に登場したJ57だった。
三菱ジープに搭載されたガソリンエンジンは、J3に搭載されたJH4 「ジャパン・ハリケーンエンジン」に始まる。J52ではKE47型エンジンが採用されたが、短命に終わった。そして、J56から「アストロン」と名付けられたエンジンの歴史が始まる。
アストロン・エンジンは、それまでの「ジープはトルクで走るもの」という定説を覆すものだった。
’74年、J56に搭載されて登場した4G53型エンジンは、2.4リッター、110PSを発揮。高回転まで吹け上がり軽々と回るエンジンは、ジープファンに少なからぬ衝撃を与えたはずだった。
翌’75年には、2リッターで100PSの4G52型エンジンを搭載した初の4ナンバージープ、J58が追加され、50系ガソリン・ジープは1、4ナンバーモデルを併売していた。
そして’80年、G54B型搭載のJ57が登場する。4G53型エンジンをベースに排気量を171 アップしたG54B型は、2555cc 。4気筒ガソリンエンジンとしては最大クラスといえる排気量。パワーは120PS/5000rpmと、ディーゼルを含む三菱ジープ史上最強のものとなった。
1気筒あたり650ccにもなる大径ピストンが上下するエンジンは、いまどきのエンジンとは比べモノにならないほど強力なトルクを発生。しかも、いざ回って欲しいときには爽快な加速も可能というマルチタレントぶりを発揮してくれるのである。


縦置きされる2.6 リッター直列4筒ガソリンエンジン、アスロトンG54B。這うような粘りの走りから、 急激な加速まで、 いかなる走りにも対応できる。

軽快なボディーと粘りのある大排気量ガソリンエンジンで、クロウリングも得意科目。有り余るパワーをどこに仕向けるかで走りが変わる。
ジャジャ馬とすら呼ばれる過激な走りも可能
オフロードを走る4 × 4 にとって、重要なのは低回転で発生されるトルクだ。その点、これまでになく排気量をアップしたG54B型には、他のアストロンエンジンに対して大きなアドバンテージがある。
吹け上がりの元気な4G52型や4G23型より低回転で扱いやすく、一方で、ガバッと踏み込んでやれば高回転までスムーズに回ってくれる。ジープ独特の軽い車重と、2.6リッターという大きな排気量の組み合わせは、鋭い加速を見せたかと思えば、這うような速度で進むクロウリングまで、いかなる場所での走りも得意としてしまった。エンスト寸前まで粘らせても、そこからグッとアクセルを踏んでやれば、何事もなかったかのように加速を開始してくれる。最強のジープ、などというと「速い」だけかと思われてしまいそうだが、排気量拡大による恩恵は、むしろクロスカントリー・フィールドで発揮されることの方が多いのだ。
やたらとパワーが出ていたからなのか、それとも当時の走らせ方、遊び方の違いなのか、J57は「ジャジャ馬」と言われることが多かった。たしかに、このJ57を河川敷やフラットダートなどに持ち込んで、思いっきり駆け回ってみると、ジャジャ馬と呼ばれるワケも理解できる。ただ、いとも簡単にホイールスピンし、段差ではジャンプ、豪快なコーナリングと言った具合に、実は楽しさの方が勝っていたりもするのだが。
あるときはパワフルに俊敏に加速し、あるときは地を這うように進む 大排気量の恩恵はあらゆるシーンで実感できる


ジープはやはりオープンの姿が美しいが、改良によって精度の高まった幌屋根の実用性も高い。ドアは内外から施錠できる構造となっている。

基本的にはJ3R時代から変わらないインパネ。メーター類は防塵仕様なので水洗いも可能だ。コラム上部のタコメーターは後付け。

ウインカー、テールランプはこれ以上ないほどにシンプル。レンズが飛び出しているため、オフロードでは壊しやすいのが玉にキズ。

左からシフトレバー、二駆/ 四駆切り替えレバー、トランスファーレバーが床から生えて並ぶ。シフトレバーはかなり長い。

ビニール表皮のシートは、クッション性もよく丸洗いも可能。J57時代にロールバーと3点式シートベルトを標準装備。

車体とフェンダーが別々なのは、ジープのアイデンティティ。前垂れのマネキネコ・タイプは、’78以降のモデルに共通している。

タイヤハウスの上には折畳み式対向シートを備える。座り心地は…

荷台にはアオリゲートが付き、荷物の出し入れ、後部への乗り込みを容易にしている。
2.6 リッターのホットなモデルはガソリンジープの幕引き役となった

JEEP J20 Series メタルトップボディーを持つショートホイールベースモデル。当初はJ40系と同じグレー系のボディーカラーだったが、モデル末期にはJ30系と似たツートンに。

JEEP J30 Series ウイリスワゴンをもとにしたJ11を4ドア化し、グッと使いやすくした三菱版ジープ・ワゴン。ジープの中でも、このJ30系の熱烈のファンはいまだ多い。

JEEP J40 Series ロングの幌屋根という、いかにもワークホースといった趣のジープ。建設現場などへの小口の人員輸送に使われることが多いクルマだ。比較的後期まで残ったのは隠れた人気のゆえか?
SPECIFICATIONS
- 車名/ 年式: 三菱ジープ(L-J57)/1986年
- 全長×全幅×全高: 3,455 × 1,655 × 1,920mm
- ホイールベース: 2,030mm
- トレッド: 前/1,300mm 後/1,300mm
- 最低地上高: 225mm
- 車両重量: 1,170kg
- 乗車定員: 2 (4)名
- 形式: 水冷直列4気筒OHC ガソリン
- 総排気量: 2,555cc
- 内径×行程: 91.1 × 98.0mm
- 圧縮比: 8.2 :1
- 最高出力: 120PS/5,000rpm
- 最大トルク: 21.3kgm/3,000rpm
- 燃料/タンク容量: 無鉛レギュラーガソリン/44L
- 変速比: 1 速:3.300/2 速:1.795/3 速:1.354/4 速:1.000/ 後退:3.157
- トランスミッション形式: 4速MT
- 駆動方式: パートタイム4 × 4
- 副変速比: Hi : 0.903 Lo : 2.306
- 最終減速比: 5.375
- ステアリング形式: ボール・ナット式
- サスペンション 前: リジッドアクスル式リーフスプリング
- サスペンション 後: リジッドアクスル式リーフスプリング
- 主ブレーキ: 前: ドラム 後: ドラム
- タイヤサイズ: 7.60-15
- 車両本体価格: 1,380,000円(当時)



