ニッサン テラノD21 1986-1995
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
斬新なアメリカンデザイン
それまではあり得なかった、低く、流れるようなボディーライン
ラテン語で「地球」を意味する言葉を含んだ特異なネーミング
先行していたサーフとは別角度からの大胆なアプローチに
ファッションやライフスタイルに敏感な若者の心が動いた!
誰にでも乗りこなせる まさに乗用車のような4WD
テラノのデビューはD21型ダットサン4WD のフルチェンジに遅れること1年の、1986年8月だった。ロデオがビッグホーンを、フォルテがパジェロを、そしてハイラックスがサーフを生んだように、ダットサンからの派生車も当然のように予想されていた。しかしそれは見事に裏切られた。新たに登場した日産の4×4は、単にピックアップのルーフを延ばしただけの、トラック然としたクルマではなかったからだ。
初期型テラノのボディータイプは2ドアのみ。グレードはワゴンのR3MとバンのA2M、そして廉価版のA1Mの3種類だった。ホイールベースこそ2650mm と、ダットサンベースであることが伺えたが、ボディー高はダットサン4WDより低く、当時の60系サーフより65mmも低いものだった。加えて路面からのシート座面までの高さも抑えられていて、乗降性の良さはオフロード4×4の常識を超えていた。テラノは乗用車のように、サイドステップなしで腰からススッと乗り込めたのである。
アメリカのNDI (ニッサン・デザイン・インターナショナル) が図面を起こした独特のフォルムは、知的でワイルドな印象。低くて安定感を覚えるシルエットでありながら、身長180cmの乗員でも頭上に10cmの余裕があるシートポジションを実現。まさに、ニッサンのいうとおり、「誰でも乗用者感覚で乗りこなせる新感覚4WD」だったのだ。
思いのままに操れる楽しさ ユーザーに夢を与える4×4
登場当時のテラノは、新開発エンジンTD27型ディーゼルのみの設定だった。これは2663cc の4気筒OHVで、最高出力は85PS、最大トルクは18kgmでしかなかったが、約1.7tのボディーを引っ張るにはまずまずの実力。少なくとも一世代前のSD23型ディーゼルを積んだダットサン4WDがシフトダウンさせて登る勾配をそのままのギアで済んでしまう力強さを持ち合わせていた。
そして1987年8月、そんなテラノに140PSを発揮する2960cc のV6ガソリンエンジンが追加された。スタートダッシュの鋭さが暴力的とまで例えられたそのパワーで、テラノは一躍国産4×4の中でも突出した存在となった。
このV6エンジンの登場で、テラノの基本性能の高さが浮き彫りになった。もともとフロント・ダブルウィッシュボーン式トーションバースプリング、リア・5リンクリジッドアクスル式コイルスプリングのサスペンションは、ハンドリングや乗り心地、路面追従性を重視したもの。低い重心を実現したこの土台の上に、有り余るV6パワーが載って、テラノの走りは「操るのが楽しい4WD」という評価を得るに至ったのだった。
鈍重なイメージが先行していた4x4の世界に、新風を吹き込んだテラノ。思いのままに操れることから、当時、ダート競技にチャレンジするユーザーも多く現れた。テラノは夢を与える4x4でもあったのだ。
ドライバーの神経がクルマの隅々まで直結
意のままに操れる新感覚4WD

姿勢が低い分、本格的なオフロード走行はやや不得手だったが、ダートなどスピード走行では水を得た魚となったテラノ。操る喜びも提供。

三角形のウインドゥやブリスターフェンダーがボディーサイドの大きな特徴。4ドアになるとそのイメージは抑えられてしまった。

四角くてゴツゴツしたインテリアはニッサンならでは。 “乗用車らしさ” は感じられなかったが、ボディーデザインとはマッチしていたのかも?

背もたれの両サイドが張り出すスポーティーさが特徴のフロントシート。シートのファブリック地はソフトな風合い。

アームレストも備わるリアシート。左右分割式で座面と背もたれは別々に動かして長くフラットな荷室を生み出す。

初期型のエンジンは、このTD27のみ。マニュアルミッションとの組み合わせでは、1.7tのボディーを楽に振り回せた。後にターボ仕様も登場した。

右は5速マニュアル、左は2 速トランスファーのレバー。R3M では4速オートマチックも選べた。

背面スペアタイヤ仕様はメーカーオプション。標準仕様では、スペアタイヤは荷室の左側に収まっていた。

TERRANO R3M 3ナンバー登録のステーションワゴン。後に廉価版のR2M も登場。さらに4ドア仕様へ移行するなど、大いなる発展性を含んだモデルだった。

TERRANO A2M 商用車登録となるエステートバン。室内装備はR3M を基準にファブリックシートを簡素化するなど、ローコストな仕様としていた。

TERRANO A1M テラノの最廉価モデル。A2M同様のエストートバンで、インパネまわりを簡素化したりシート表皮をビニールにするなど、ビジネス用に徹したモデル。
SPECIFICATIONS
- 車名/年式: テラノR3M (WBYD21)/1986年
- 全長×全幅×全高: 4,365 × 1,690 × 1,680mm
- ホイールベース: 2,650mm
- トレッド: 前/1,445mm 後/1,405mm
- 最低地上高: 210mm
- 車両重量: 1,700kg
- 乗車定員: 5名
- 形式: 水冷直列4 気筒OHV ディーゼル
- 総排気量: 2,663cc
- 内径×行程: 96.0 × 92.0mm
- 圧縮比: 21.8:1
- 最高出力: 85PS/4,3000rpm
- 最大トルク: 18.0kgm/2,200rpm
- 燃料/タンク容量: 軽油/80L
- トランスミッション形式: 5速MT
- 駆動方式: パートタイム式4 × 4
- 副変速比: Hi : 1.000 Lo : 2.020
- 最終減速比: 4.875
- ステアリング形式: ボール・ナット式
- サスペンション 前: ダブルウィッシュボーン式トーションバースプリング
- サスペンション 後: 5 リンクリジッドアクスル式コイルスプリング
- 主ブレーキ: 前: ベンチレーテッドディスク 後: デュオサーボドラム
- タイヤサイズ: 215SR15
- 車両本体価格: 2,333,000円(当時)



