アメ車の象徴「V8」を積んだジープ

「アメ車」というキーワードから連想されるものと言えば「フルサイズ」、「ソフトな乗り心地」、そして「V8」あたりだろう4 × 4 のシンボルとも言えるジープの中にもV8 を搭載したモデルが存在した

5リッターV8を積んだCJ -7
中でも「金の鷲」は憧れの的

 5リッターV8を搭載したCJ シリーズは、C J – 7 とCJ – 5があり、CJ – 7のV8は1976年から’81年まで生産された。日本では、’79年頃、愛知県の老舗輸入車ディーラー「中京リース(現RV INNCHUKYO)」が正規代理店となっており、生産終了までの間に400台以上も輸入された。
 ボンネットに大きな金の鷲が描かれたゴールデンイーグルは、CJシリーズの上級グレード。当時約500万円の車両本体価格が付けられ、多くの四駆ユーザーにとって憧れの的となったモデルだ。
 現行のジープ・グランドチェロキーにもV8が搭載されているが、CJ – 7のV8は全く趣が異なる。「滑らかさ」「静かさ」がウリの現代のV8は、確かに速くて快適だが、面白みには欠ける。CJ – 7のV8は、荒削りな機械そのもの。きちんと暖機しないと機嫌を損ね、メカニカルノイズもデカい。オートマなら少しはマシだが、MTは、アクセルをふかしてラフにクラッチをつなごうものなら、たちまちホイールスピンを起こしてしまう。もっとも、ジャジャ馬で、乗りこなすのが難しいからこそ、男として征服してやろうという願望が生まれ、惹きつけられるのだろう。
 この辺りの感覚は、MBやCJ3A、M38など、オリジナルサイズのジープにはない。快適さを追って肥大化したCJ -7には賛否両論あろうが、ことV8に関しては、否定的な意見が思わず引っ込んでしまうほどの魅力がある。

太いトルクで街乗りラクラク
現代でも充分通用する快適さ

 CJ – 5はソフトトップのみだが、CJ – 7には、ソフトトップとFRP製ハードトップの2タイプが設定されていた。ハードトップも取り外すことができ、オープンにすれば豪快なV8サウンドが堪能できる。
 最高出力150HPというスペックは、この時代の4×4としては、ケタ違いにハイパワーだったはずだが、現代においては「速さ」を感じることはない。しかし、5リッターもの排気量が太いトルクを生みだし、確実に走りに余裕を与えている。とにかく乗っていてラクチンなのだ。オートマ、パワステ、エアコンが備わったCJ – 7なら、現在でも充分にファーストカーとして通用する(ただし家庭持ちは除く) はずだ。

3 速AT はコラムシフトとなる。ステアリングはパワーアシストが強く働き、片手でクルクル回せるのがアメ

CJ シリーズの上級グレード「ゴールデンイーグル」。ボンネットに大きく描かれた金の鷲のデカールに憧れ

中京リースによって正規輸入されたCJ-7 には、ランクル40 用のウインカーが装着されていた。

荒削りで豪快なV8 の走りが魅力。これぞ古き良きアメリカの象徴。

先進のクォドラトラックも
オイルショックには勝てなかった

 CJ – 7のトランスファーは、パートタイム4×4が基本となる。しかし、’77〜’79年式の3速AT車には、フルタイム4×4の「クォドラトラック」が組み込まれていた。
 イージードライブを目的としたフルタイム4×4には、一輪が空転しただけで走行不能に陥るという弱点がある。クォドラトラックは、センターデフにLSDを内蔵し、さらにセンターデフロック機構も設けることで、その弱点を解消。走破性にこだわるジープに相応しい機構と言える。今でこそ同様の機構は珍しくなくなったが、当時としては最先端のメカニズムだった。
 ’79年に世界を襲った第二次オイルショックにより、燃費面で不利なフルタイム4×4や大排気量車は次第に市場から姿を消していくことになる。CJ – 7のV8搭載車は’81年まで生産されたが、その後、CJの後継車となるラングラーYJやTJ

ミリタリーからシビリアンユースへと転身を図ったジープだが、インパネまわりのメカニカルなデザインに機

スピードメーターはキロ表示とマイル表示を併記。当時の日本の法規に従い、後付けの速度警告ブザーが

シンプル極まりないシート形状。シート生地はなんとリーバイス製だ。’80 年式以降はフロントがバケット

2 ペダルのオートマだが、パーキングブレーキが足踏み式で、ヘッドランプのハイ/ロー切り替えも足で行うた

オフロードをカンガン走ってもへこたれないリーフ・リジッドの前脚。飛び出したステアリングギアボック

中京リースの輸入車は、標準の4 枚リーフではなく、オプションのヘビーデューティータイプ(7 枚

’78 年式の標準エンジンは3.8 リッター直6だが、オプションで4.2 リッター直6 と5リッターV8 が用意さ

ハードトップモデルでも、FRP トップとドアは脱着可能。スペアタイヤは本来背面のスイング

SPECIFICATIONS

  • 車名/ 年式 ジープ・CJ-7 ゴールデンイーグル/1978 年
  • 全長×全幅×全高 3,757 × 1,742 × 1,791mm
  • ホイールベース 2,375mm
  • トレッド 前/1,367mm 後/1,328mm
  • 最低地上高 175mm
  • 車両重量 1,640kg
  • 乗車定員 2 (4) 名
  • 形式 水冷V 型8 気筒OHV
  • 総排気量 4,982cc
  • 内径×行程 95.3 × 87.4mm
  • 圧縮比 8.4 : 1
  • 最高出力 150HP/4,200rpm
  • 最大トルク 33.8kgm/2,500rpm
  • 燃料/ タンク容量 無鉛レギュラーガソリン/58.7l
  • トランスミッション形式 3 速AT
  • 変速比 1 速: 2.481/2 速: 1.481/3 速: 1.000/ 後退: 2.076
  • 駆動方式 クォドラトラック(フルタイム4 × 4)
  • 副変速比 Hi : 1.000 Lo : 2.570
  • 最終減速比 3.540
  • ステアリング形式 ボール・ナット
  • サスペンション 前: リジッドアクスル式リーフスプリング 
  • 後: リジッドアクスル式リーフスプリング
  • 主ブレーキ 前: ベンチレーテッドディスク 後: デュオサーボ
  • タイヤサイズ 9.00-15
  • 車両本体価格 US $6,443 〜8,397 (当時)