2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載

RAV4の6年前からニューコンセプト

4x4は欲しいけど、本気でオフロードを走りたいわけじゃない
ショッピングやドライブを楽しめる小さな4x4はないだろうか?
多様化するそんなニーズに、コンパクトカーのスズキが回答を出した
デザインも走りも新しい、そんなランナバウトが’80年代に誕生していた

まったく新しいコンセプト 独自のジャンルを生み出した

 「小さなクルマ、大きな未来」のスズキが、未来を見越して発売したエスクード。それはスポーティーカー、ファミリーカー、ラグジュアリーカー、クロスカントリーカー等、従来のジャンルのいずれにも属さない4×4として開発された。

 それまではジャンルにこだわった開発スタイルが主体となっていたために、ユーザーニーズの多様化に追いつかないという側面があった時代。基本設計を変えずに、装備品を変えてお茶を濁すようなお手軽な手法によるクルマも多数世に出ていた中で、エスクードのデビューは衝撃的だった。

 発売時のラインナップは、ハードトップとコンバーチブル(幌) のふたつ。ハードトップには乗用車登録のモデルと商用車登録となるバンが用意されていた。エンジンは新開発のG16A型で1.6リッターの4気筒OHC。これに続くパワートレインはトランスミッションとトランスファーを一体としたもの。コンパクトなボディーにふさわしい仕様で、ローレンジを持つトランスファーにはサイレントチェーンが採用された。

 脚まわりはジムニーと異なり、乗用車のような快適な乗り心地と安定した走りを実現するフロントストラット・リアリジッドで、どちらもコイルスプリングで吊るすタイプ。

 パワーとレーンもサスペンションもオフロードタイプの4x4とは一線を画す、まさに新時代の仕様だった。

ワインディングも楽しめる脚  オフロードもなかなかの走破性

 取材車両は3速ATのハードトップ。大きなドアを開けると敷居が低く、オフロードタイプとは思えない乗り込みのしやすさ。それでも座面が高い位置にあるためアイポイントも高く、道路の見通しがよい。

 アスファルト路で4×2のままスタート。ロングストロークエンジンはスムーズに回転を上げるが、車重に対するトルクはやや不足気味。ただしATが3速による変速時のショックやトルク不足を感じないので、その後の速度の伸びには想像以上にリニア感があり好感が持てる。

 ステアリングはもちろんパワーアシスト付きで、低速時に軽すぎて不安に感じることもなく適度な手応えがある。直進状態からの切り始めにややレスポンスの鈍さを感じるが、これは大きなハーシュネスを受け止めるオフロード走行も想定したセッティングだろう。それでもハンドリングは軽快で加速はスムーズ。ブレーキやサスペンションの振る舞いにも不満は感じない。タイヤのグリップにはそこそこ余裕があるため、腕に覚えがあるドライバーなら充分にワインディングを楽しめるはずだ。

 トランスファーを4Hにして小刻みにギャップが続く路面を走る。乗り心地は保たれ、リジッドアクスル車のような突き上げやピッチングは感じられずスピードものる。想像以上の安定感だ。だがサスペンションのストロークはランクルやパジェロほど余裕があるわけではないので、飛ばすのはフラットダートまで。

 また、4Lに入れて走る悪路でもスイスイと走る。ガードがおろそかな下腹をヒットさせないようにすれば、ジムニー並みの駆動力で乗り越えることも可能だ。

 見かけによらず、オフロード走行の素質は充分。オンロードではセダン並みの快適さ。エスクードはコンセプトどおりの走りを提供する。

RAV4やCR-Vより先に誕生したコンパクト4 × 4のパイオニア

前後の対地障害角は充分だが、腹下はウィークポイント。ガードがないためヒットさせないように進まなければならない。

左ハンドルとなる輸出仕様のために、 向かって右側の空間に余裕があるレイアウト。 エスクードの活躍の場は、 もちろん日本だけではない。

ステアリングの間から覗くメーターは狭いスペースに凝縮されたように見えるが、視認性はまずまず。

電動調整ミラー、メーター照明の輝度調整など、およそ同価格帯の乗用車に備わるものは付いている。

荷室には小さなスーツケースが載る程度のスペースがあり、左右分割の後席を倒せば空間は3倍以上になる。

前席を前方にスライドさせて背もたれを倒せばフラットになる。仮眠には充分な広さだ。

パワーウインドゥは標準装備。機能をカットするロック機能はあるが、オートでの開閉はできないのがちょっと…

ジムニーに比べ、腹下の高さこそ違えど、前後の対地障害角にはほとんど差がない。

バンは5速MTのみ 商用車登録のバンも同時に発売された。後席スペースを狭めて荷室の床面積を拡大。リアサイドウインドゥには破損防止のガードバーが備わる。

シティ派のコンバーチブル 斬新なデザインのボディーは、オープンにするとさらにスタイリッシュに。これならシティークルージングも似合いそう。そこにエスクードの楽しさがある。

SPECIFICATIONS

  • 車名/年式: スズキエスクードハードトップ(TA01W)/1988年
  • 全長×全幅×全高: 3,560 × 1,635 × 1,665mm
  • ホイールベース: 2,200mm
  • トレッド:  前/1,395mm 後/1,400mm
  • 最低地上高: 200mm
  • 車両重量: 1,010kg
  • 乗車定員: 5名
  • 形式: 水冷直列4気筒OHC ガソリン
  • 総排気量: 1,590cc
  • 内径×行程: 75.0 × 90.0mm
  • 圧縮比:  8.9 :1
  • 最高出力: 82PS/5,500rpm
  • 最大トルク: 13.1kgm/3,000rpm
  • 燃料/タンク容量: 無鉛レギュラーガソリン/42L
  • トランスミッション形式: 3速AT
  • 駆動方式: パートタイム4 × 4
  • 副変速比:  Hi : 1.000 Lo : 1.816
  • 最終減速比: 4.625
  • ステアリング形式: ボール・ナット式
  • サスペンション 前: マクファーソンストラット式コイルスプリング 
  • サスペンション 後: リジッドアクスル式コイルスプリング
  • 主ブレーキ: 前: ディスク 後: リーディングトレーリングドラム
  • タイヤサイズ: 195SR15
  • 車両本体価格 :1,875,000円(当時)