2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載

ヤングファミリーの人気者

ピックアップにシェルを被せたような先代から大きな進化
クローズドボディーに2ドア& 4ドア設定で間口を広げ
スキのないつくりで多くのファンを魅了した130系
見かけはソフトでも、中身は最新ハードが詰まっていた

V6ガソリンのアメリカ
4気筒ディーゼルの日本

 コンパクトサイズのSU V市場は、1980年代から1990年代にかけてアメリカで急成長を遂げた分野。トヨタが最初にここへ4ランナー(ハイラックス サーフ) を送り込んだのは1984年のこと。以後カリフォルニアやコロラドなど、西海岸エリアを中心にすぐさまヤングファミリー層に浸透していき、4ランナーは成功を収めたのだった。

 それから5年。アメリカでは1990年モデルとして、日本では2代目として登場したのが130系と呼ばれる4ランナーでありサーフであった。もともと「アメリカ市場ありき」というスタンスで開発された経緯もあり、4ランナーは4×2と4×4で二本立てとした駆動方式に、3リッターV6と2.4リッター直4のふたつのガソリンエンジンを選ぶことができた。一方、日本向けのサーフでは4×4のみとし、ワゴン仕様のエンジンは2リッター直4ガソリンと2.4リッター直4ディーゼルターボのふたつがラインナップされた。

 それは、日本では自動車税の存在がクルマの購入動機を大きく左右すること、そして4×4は経済性に優れるディーゼル仕様が支配的だったことによるラインナップ。サーフには後にV6ガソリン仕様が追加されるが、それは4×4市場が徐々に乗用車市場との重なりが大きくなったからであった。

 スタイルは、シェル付きのピックアップ然としたものから腰高でも落ち着きのあるステーションワゴンに様変わりしただけでなく、以前にも増して乗用車としての使い勝手を基準にまとめられていた。エクステリアのデザインはひと足早くモデルチェンジしたハイラックスピックアップと同じ流れにあり、待望の4ドアモデルも登場。直接のライバルとなるテラノのほか、パジェロやビッグホーンとも渡りあえるボディーとなった。

 以前のモデルでは、ともすれば軽視されがちだったスペース確保についても、130系ではきめ細かな作り込みによって積極性が見られた。例えば、時代の流れに従ってフロントウインドシールドをさらに寝かせたが、室内空間を広く確保するためエンジンルーム長が詰められたのだ。

 無骨で遊具感の強かった先代から脱皮して、あらゆる面で積極的に乗用車化が進められたサーフが130系だった。

いたってソフトな乗り心地
実用性ではバンのディーゼルに軍配

 初代ハイラックス4WDの落ち着きのないサスペンションから、後のピックアップも、このサーフもソフトライドに変わってきている。これは、貨客兼用としてのつくりから乗用車として求められる乗り心地を第一に考えた設定だ。特にコイルスプリング化されたリアサスペンションは印象的。開けたテールゲートに腰掛けるとフワッと沈み込むほどのソフトさで不安に感じるが、走り出すと路面の荒れを充分に吸収しながらボディーを安定させる。ダートを飛ばすと、ピッチングもロールも周期は大きく、落ち着きを失わない。

 ところがこのソフトさが裏目に出る場面もあった。急なブレーキング時、つまづいたかのような前のめり姿勢となり、フロントに対するリアの軽さや、サスペンションの設計に詰めの甘さを感じずにはいられなかったのだ。

 エンジンは2.4リッターディーゼルターボの2L – T㈼型が主力。これはターボらしく低速トルクより上まで回したときのパワーの盛り上がりに魅力があるが、実用性ではバン仕様に搭載された2.8リッターディーゼルの3Y型に軍配が上がる。

 乗用車らしく日常の足として、ファミリードライブの友として成長したサーフだが、4x2と4x4間の切り替えを容易にしたADDなど、オフロード向け機能も手抜かりなく採用しているところは、世界の人気モデルゆえだろう。

さらにソフトに調教された脚 乗り心地は◎、操縦安定性は△

フラット路面ではいたってジェントルな乗り心地。小刻みなピッチングは皆無で、長距離ドライブでも疲れにくいのが印象的。ロールも緩やかなものだが、ブレーキング時のノーズダイブはやや派手。横方向と前後方向の安定性のバランスに課題を残した感があった。

ボディー色に応じて、他車では例のないアメリカで人気の赤いインテリアが選べた。インパネのデザインはまさに乗用車流の曲線美。シートの風合いは高級車の雰囲気すら感じられるものだった。

奥が5速MTのレバーで、手前がトランスファー用。ノブ横のボタンでハイレンジの4×2と4x4が切り替え可。

後席はさらに快適になり、乗用車として扱いやすくなった。サイドステップのおかげで乗降にも苦労しない。

運転席の前方にターボがマウントされた2L-TII型ターボディーゼル。レスポンス性では劣ったが、回転を高めにキープすればキビキビとした走りが楽しめた。

フロントウインドシールドを寝かせた分、エンジンルームの前後長を詰め、充分な室内長が確保された。

3.4 リッターV6 搭載の185 130 系のガソリンエンジンは3リッターV6まで排気量が増えたが、後の185系(写真)では3.4リッターV6 となり、さらにパワフルに。

SPECIFICATIONS

  • 車種/年式: ハイラックスサーフ ワゴンSSR リミテッド(LN130G)/1989年
  • 全長×全幅×全高: 4,470 × 1,690 × 1,745mm
  • ホイールベース: 2,625mm
  • トレッド: 前/1,430mm 後/1,425mm
  • 最低地上高: 210mm
  • 車両重量: 1,750kg
  • 乗車定員: 5名
  • 形式: 水冷直列4気筒OHC ターボディーゼル
  • 総排気量: 2,446cc
  • 内径×行程: 92.0 × 92.0mm
  • 圧縮比:  21.0 :1
  • 最高出力: 94PS/4,000rpm
  • 最大トルク: 22.0kgm/2,400rpm
  • 燃料/タンク容量: 軽油/65L
  • トランスミッション形式: 5速MT
  • 駆動方式: パートタイム4 × 4
  • 副変速比:  Hi : 1.000 Lo : 2.566
  • 最終減速比: 4.300
  • ステアリング形式: ボール・ナット式
  • サスペンション 前: ダブルウィッシュボーン式トーションバースプリング 
  • サスペンション 後: リジッドアクスル式コイルスプリング
  • 主ブレーキ 前: ベンチレーテッドディスク 後: リーディングトレーリングドラム
  • タイヤサイズ: 215SR15
  • 車両本体価格: 2,255,000円(当時)