トヨタ ハイラックス 4WD サーフ60系 1984-1989
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
4 × 4ブームに油を注いだ立て役者
FRPトップを被せた斬新なスタイルでデビューした初代サーフ
充実した装備に加え、ガソリンとディーゼルエンジンをランナップ
もはや売れる要素を満載した4x4だったのだ
アメリカンなフリをしながら日本的な優等生を務めた4×4
サーフのベースとなったハイラックス4WDは、アメリカ市場での需要に大きく影響されて生まれてきた。そのころカリフォルニアを中心に、日本製ピックアップの4×4化が行われていたが、ハイラックス4WDはフロントにもリーフリジッド式のアクスルが採用されて改造車並みの車高を持ち、最もアメリカのカスタムピックアップに近いものだった。
初代サーフも、サイズこそ違うものの、アメリカのフルサイズ4×4にも似た構造のものもあり、そのコンパクト版を目指したとも言える。当時のブロンコIIやミニ・ブレイザーと比較しても、よっぽどこのサーフのほうがアメリカンなスタイルを持っているといえよう。カリフォルニアにデザイン・オフィスを構えているトヨタならではの強みだ。
もちろん、何もかもがアメリカナイズされてしまったわけではない。幸いにして細部の仕上げや気を配った設計は極めて日本車的で、日本でのシェアも確保することができた。
取材車両のサーフは、SRグレードの上に設定されたSSR仕様で、いわゆるフルオプションに近いモデルだ。ドライバーズシートに座った時に目に入るもの、操作するものは、当時の装備として至れり尽くせりで、オプションのエアコンやリアヒーターを装備すれば、現在でも不便を感じることはないだろう。
Bピラーから後部は厚いFRP製のシェルで、まるでペイントで塗り分けられたかのようにボディー面との一体化が図られていた。軽量化とコストダウンのため、スチールの一体型ボディーを採用するアメリカン4×4の流れに反しているが、脱着によってボディーバリエーションが楽しめるところに理由があったのだろうか。
ピックアップに対して60mmほど車高が低くされているため、乗降は楽になっている。シートに座って前を見ているうちは、ピックアップと変わりないが、ルームミラーを見るとそれは払拭される。ダブルキャブのそれより、はるかにゆったりとしてリアシート、さらにその後にも1mm近いスペースが広がっている。
このサーフには、3Y -J型2リッターガソリンを搭載したYN60Vと、2L型2.4リッターディーゼルエンジンを搭載したLN60Vがラインナップされ、様々なユーザーの要望に応えることができた。

ハイラックス4WDのイメージを継ぎより乗用車を意識したセッティング
イグニッション・キーを入れてひと捻りし、グローが終わるわずかな時間を待ってスターターを回す。2446 の2L型O H C ディーゼルエンジンは、軽やかにアイドリングを始める。ガソリンモデルに搭載されている1998 3Y – J型 エンジンと比較しても、この2L型エンジンがガソリンエンジン並みのパワーを実現していることが分かる。
またメカニカルノイズの減少が図られたエンジンに加え、長い車室と厚い内装材のため、静粛性も当時のレベルからすると高く、特に排気音などは少しも気にならない。
アクセルを軽くあおり、低すぎるローギアをパスしてセカンド発進すると、思いのほかソフトライドなリーフスプリングであることに気が付く。デビューの翌年にフロントサスペンションをダブルウィッシュボーンに変更し、乗り心地の向上を実現したほどこのサーフには乗用車的な要素が求められていたことが窺い知れる。ピックアップにありがちな尻が跳ねたり滑ったりすることもないしっとりとした仕上がりで、路面の凹凸を十分に吸収してくれる。
さすがに一世を風靡したモデルだけのことはある
これだけ個性と夢、スター性を持ったモデルは珍しい

プラスチックを多用した直線基調のインパネは今でこそ古さを感じさせるが、 装備群は当時の乗用車に引けをとらないほど充実していた。

フロア面に対して低い位置に取り付けられたバンパーは、フロア下に釣られたスペアタイヤを隠すのに一役買っている。

リアシートは3人掛けだが、均等2分割の折り畳み機能があるため、 中央の乗員は乗り心地が悪いだろう。

デビュー時のフロンサスはリーフリジッドで、翌年には独立懸架に変更された。オートマチック・フリーハブも装備。

スペアタイヤを外した状態のリア下回り。ダンパー
はバイアス配置が採用され、L.S.P.V. も装備されていた。

デビュー当初のノンターボディーゼルの2L型は、後にターボ化される。ガソリンの3Y-J を含め、基本的には非力。

サーフらしいイメージを形成していたウインドゥグラフィック。次代の130 系2ドアにもイメージが引き継がれた。

リアワイパーのスイッチを切ると、右上の受け台にワイパーアームが乗る凝った仕組み。つくづく日本車だと実感。
SPECIFICATIONS
- 車名/年式: ハイラックス 4WD サーフ SSR (LN60V) /1984年
- 全長×全幅×全高: 4,435 × 1,690 × 1,745mm
- ホイールベース: 2,610mm
- トレッド: 前/1,430mm 後/1,410mm
- 最低地上高: 210mm
- 車両重量: 1,520kg
- 乗車定員: 5名
- エンジン形式: 水冷直列4 気筒OHC ディーゼル
- 総排気量: 2,446cc
- 内径×行程: 92.0 × 92.0mm
- 圧縮比: 22.3:1
- 最高出力: 83PS/4,000rpm
- 最大トルク: 17.0kgm/2,400rpm
- 燃料/タンク容量: 軽油/65L
- トランスミッション形式: 5速MT
- 駆動方式: パートタイム4 × 4
- 副変速比: Hi : 1.000 Lo : 2.276
- 最終減速比: 4.556
- ステアリング形式: ボール・ナット(パワーアシスト付き)
- サスペンション 前: リジッドアクスル式リーフスプリング
- サスペンション 後: リジッドアクスル式リーフスプリング
- 主ブレーキ: 前: ソリッドディスク 後: ドラム
- タイヤサイズ: 255/50R20
- 車両本体価格: 13,200,000円(当時)



