メルセデス・ベンツ・ウニモグU411 1956-1974
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
完成の域に達していたロングセラー
ウニモグといば脳裏に思い描かれているのは、巨大な作業用トラックだ
しかし、その源流を追っていくと、驚くほど小さな
そして確かにウニモグのカタチと機構を持ったトラックに出会った
自動車ではなく多目的動力源
だから「UNIMOG」
第二次大戦終結と同時に、敗戦国として連合軍の占領・監視にあったドイツで、農作業のための多目的動力源として使われるクルマの開発がひっそりと始まった。
この時の構想として「2人乗りキャビンを持つ四輪駆動車、荷台や作業機械を搭載するスペースの確保、前後デフロックの装備、作業用PTOの装備、最適な作業速度が得られるミッションの装備」といった条件が設定されている。現在あるウニモグとほぼ同じ装備・条件が、開発当初から考えられていたのだ。
そして1949年、農機具・工作機械メーカーであるボーリンガー社の工場で、ウニモグは誕生した。ダイムラー・ベンツ社の既存工場には生産ラインが設置できなかったためにボーリンガー社での代理生産となったのだ。ダイムラー・ベンツでの生産が開始されるのは、それから2年後、ガゲナウ新工場が完成してからのことになる。
現在まで通称名として使われている「ウニモグ」なる名は、開発当初に多目的移動動力源(Universal Motor Gerat) と呼ばれたことに由来し、これを略してUNIMOG=ウニモグと呼ばれているわけだ。実際、現在に至ってもクルマというよりは、農業のみならず多方面の「動力源」として、トラクター的に使われているウニモグにとって、この名はまさに「名は体を表わす」ものなのだと言える。
こうしてデビューしたウニモグ第1号は「2010型」と呼ばれた。さらに401/402型へと変更が加えられ、これをリファインしたモデルとして、1956年にU411型がデビュー。1974年まで生産が続けられ、第一世代最大のロングセラーモデルとなった。
U411型は、当初の目的どおり農業用作業車としてはもとより、工事用や除雪などの特殊作業用、西ドイツ軍をはじめとする軍用にも使われるようになった。
現在でもウニモグの特徴とされる、前後コイル・リジッドの脚、ハブリダクション機構、トルクチューブに護られるプロペラシャフト、コの字断面フレームなどは、この頃すでに完成されていたのだから驚きだ。基本的な構造は現在も変わることなく、U411型当時の設計の優秀さを裏付けている。

取材車両は油圧ダンプ機構付き。上がるときはスーッと上がるが、下げるときは引っかかり、人力補助が必要になった。

1速に入れても、ちっとも前に進まない…いや、進んではいるが遅すぎるのだ。そんな「遅さ」も大事な性能の一つ。


全幅1.5m、全高2.1m。とても小さな、万能作業車。
1速では歩くより遅く走れる!?
6速でも最高速度は53/h
U411型に搭載されるエンジンは1.8リッター直4副室式ディーゼル。スペック上では最高出力34PS、最大トルク10.0 と、かなり非力に見えるが、それぞれの発生回転は極めて低く、ミッションの減速比も低く設定されているので、ウニモグとしては実用上なんら問題ない。
ミッションは前進6速を備えるが、3速までは低速作業用ギアとなっていて、1速のギアレシオはなんと14.95である。移動用には4〜6速を使用するが、6速でも最高53/hしか出せない。
これはミッションで減速されるだけでなく、デフ、さらにハブリダクションギアで減速されるためだ。
コックピットに乗り込んでみよう。ハーフドアだが、意外にも重い感触のドアを開け、ホイールに付けられたリングステップに足をかけ、よじ登る。そこには、トラクターの運転台のような、簡素そのもののコックピットがあった。
キーを差し込めばスイッチはON。インパネ左手のスターターノブを一段引き、グロープラグに火を入れる。インジケーターのニクロムが赤くなったところで、ノブをもう一段引く。ガラガラガラ…と小さなディーゼルが始動した。ギアを1速に入れ、クラッチをミート。アクセルを踏み込んでも、ちっとも進まない。一度降りても戻ってこれそうなほど。しかし、実はこれこそが、ウニモグの持つべき「性能」なのだ。

幌屋根は簡単に外すことができ、オープンにするとこのような姿に。ウインドゥは2 分割で可倒式。屋根が無くなると、トラクター然としたスタイルになる。

バスタブのようなキャビンに、トラクターの運転台のようなコックピット。ステアリングは細いが、走り出せば軽く操作できる。

1.8 リッター直4のディーゼルエンジンをボンネット内に搭載する。最高出力はわずか34PS。吸気ダクトは、ボディーサイドにつながっている。

右から前進/後退切り替えレバー、ミッションのシフトレバー、パーキングブレーキ、2駆/4駆切り替えレバー、ハイ/ロー切り替えレバー。

ハブリダクション機構によって、ドライブシャフトはホイールセンターより上に位置し、大きなクリアランスを得ることができる。

小さなスピードメーター、エア圧計、水温計が並ぶ。左端のキーの横にあるのがスターターノブ。その上にはグローインジケーターが見える。

インパネ中央に陣取っているのは、なんとラジエターのアッパータンク。冬場は手をかざせば暖が取れるという、冗談のようなホントの話。
SPECIFICATIONS
- 車名/年式: メルセデス・ベンツ・ウニモグ U411型/1965年
- 全長×全幅×全高: 3,800 × 1,500 × 2,089mm
- ホイールベース: 2,120mm
- トレッド: 前/1,290mm 後/1,295mm
- 最低地上高: 380mm
- 車両重量: 3,500kg
- 乗車定員: 2名
- 形式: 水冷直列4気筒OHVディーゼル
- 総排気量: 1,767cc
- 最高出力: 34PS/2,750rpm
- 最大トルク: 10.0kgm/1,700rpm
- 燃料/タンク容量: 軽油/——
- トランスミッション形式: 6速MT
- 変速比: 1 速:14.95/2 速:8.24/3 速:4.48/4 速:2.47/5 速:1.52/6 速:1.00/
- 後退: ——
- 駆動方式: パートタイム4 × 4
- ステアリング形式: ボール・ナット式
- サスペンション 前: リジッドアクスル式コイルスプリング
- サスペンション 後: リジッドアクスル式コイルスプリング
- 主ブレーキ: 前: ドラム 後: ドラム
- タイヤサイズ: 10.5-18



