2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載

最高級と最先端をミックス

1989年、東京モーターショーでの華々しいお披露目の直後にデビュー
フルタイム4x4にコイルサス、そして強力な6気筒エンジンと
最先端の走りの機能に最高級のSUVとしての装備を盛り込んで
ハチマルはプレミア路線の先駆けとなった

「最先端」で「最高級」 新時代を代表する4×4へ

 1989年、昭和から平成へと時代の大きな節目となったその年の暮れに、ランドクルーザー80(ハチマル) が登場。シリーズの中で旗艦となるステーションワゴンの座を、60
(ロクマル)から受け継いだ。

 この頃は、ランドクルーザーのようなステーションワゴンにも、オフロードを走る能力だけでなく、レジャーやシティーユースなどファミリー向けに移動手段としての性能装備が求められるようになってきた時代。そこで80には、過酷なオフロードを走りきるタフネスさにさらに磨きをかけるとともに、高級感やファッション性をともなう乗用車のフィーリングが最先端の技術によって植え付けられたのだった。

 全長約5m、幅約2m。日本車としては巨体と呼べるボディーに搭載されたエンジンは、3FーE型ガソリン、1HDーT型ターボディーゼル、そして1HZ型ディーゼルの3種類。駆動系では60系から受け継いだパートタイム式は脇役となり、主役はランドクルーザー史上初のフルタイム式に。さらに脚まわりはアクスルを60系同様のリジッド式としながらスプリングを4輪リーフから4輪コイルへと全面的に刷新。乗り心地や高速走行時の安定性向上を狙って、シャーシーは大幅に改良された。

 時まさにバブル絶頂期。最上級グレードのVXリミテッドが最量販グレードとなったが、自動車税がリーズナブルで燃料代が割安なディーゼルターボ仕様に人気が集中した。

 そして1992年8月にガソリンエンジンが新開発DOHCの1F ZーF E型に代わってからは、ガソリン仕様のV Xリミテッドもにわかに販売が伸び始めた。1995年1月にディーゼルターボがクリーン化を狙って4バルブ化されたころ、日本を代表する4x4としての地位は揺るぎないものになっていた。

改良とともに成長を繰り返し 高級SUVとしての地歩を築いた

 60系から一転して柔らかいデザインとなり、高級乗用車のイメージが強調されたボディー。だが、その内側ではオフロードを走るための機能が格段に高められたのが80系だ。

 大きくてヘビーなボディーを動かすために、駆動系はフルタイム式を採用。その上で副変速機にはセンターデフを機械的にロックするシステムを搭載し、パートタイム式と同等の走破性を確保した。さらにメーカーオプションで前後のアクスルデフをもロックできるメカまで盛り込まれた80系は、まさにオフロードでは鬼に金棒であった。

 エンジンは太いトルクが強力な武器となり、悪路では実に頼もしい走りを披露するとともに、特にターボディーゼル車は伸びやかな回転で快適な高速クルージングを実現した。

 こうした高い悪路走破性能、高速走行性能に加え、オフロード色の濃い80系にもABSが装備されるに至り、次第に安全性への対応が強調されていくことになった。ただし、4輪のブレーキを個別にコントロールしてブレーキング時の操縦性を確保するABSは、リジッドアクスルとの相性が悪く、最初はフルタイム状態にあるときのみ機能。その後は利きが甘いと不評だったブレーキとともに改良が進められたのだった。

 80系は1998年に100系へとバトンをつないだが、それまで、世界の市場で高級SUVへの地歩を築くという大役を果たした。

類い希なる高い悪路走破性に“最高級” の装備をプラス
“SUV のレクサス” としてのポジションも確立した

余裕のある股下高、長いホイールストローク、そして余裕のトルクで悪路を攻める80。まさにランドクルーザーの旗艦としてふさわしい走りだ。

初代 80 のインパネはグランドピアノがモチーフ。 大きなスイッチ類は手袋をはめていても操作が容易な扱いやすさを備えていた。

VXリミテッドではシート表皮に“エクセーヌ” と呼ばれるバックスキン状の高級合成皮革が採用されて話題になった。

2列目、3列目も防汚仕様のエクセーヌ表皮。2列目は左右分割式でワゴンはリクライニング機能が付いた。

80系でもっとも人気の高かったターボディーゼル(右:1HD-T 型) は、太いトルクと高速走行時の伸びやかさに定評があった。4速ATは電子制御式へと進化した。

ガソリン仕様のワゴンでは、左側の2列目シートにウォークイン機能が付く。3列目シートは比較的ゆったりした空間。

荷室にまでカーペットが敷き詰められてはいたが、荷物を固定するフックはしっかり装備。あくまで貨客兼用だ。

メーカーオプション扱いで電動ウインチが用意されていた。バンパー内蔵だったが、扱いやすさはまずまずだった。

リアのホイールストローク量はタップリとしていて、乗り心地の良さとともに悪路走破性の高さを証明。

SPECIFICATIONS

  • 車名/年式: ランドクルーザー80VX リミテッド(HDJ81V)/1989年
  • 全長×全幅×全高: 4,970 × 1,930 × 1,860mm
  • ホイールベース: 2,850mm
  • トレッド: 前/1,595mm 後/1,600mm
  • 最低地上高: 210mm
  • 車両重量: 2,260kg
  • 乗車定員: 2(5)名
  • 形式: 水冷直列6気筒OHCターボディーゼル
  • 総排気量: 4,163cc
  • 内径×行程: 94.0 × 100.0mm
  • 圧縮比: 18.6:1
  • 最高出力: 165PS/3,600rpm
  • 最大トルク: 37.0kgm/2,000rpm
  • 燃料/タンク容量: 軽油/95L
  • トランスミッション形式: 4速AT
  • 駆動方式: フルタイム4WD
  • 副変速比:  Hi : 1.000 Lo : 2.488
  • 最終減速比: 4.100
  • ステアリング形式: ボール・ナット式
  • サスペンション 前: リジッドアクスル式コイルスプリング 
  • サスペンション 後: リジッドアクスル式コイルスプリング
  • 主ブレーキ:  前: ベンチレーテッドディスク 後: ベンチレーテッドディスク
  • タイヤサイズ: 275/70R16
  • 車両本体価格: 3,599,000円(当時)