三菱デリカ スターワゴン P系 1986-1994
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
4 × 4を極めたワンボックス
ファミリーカーとしての装備と4x4としての機能を贅沢にミックス
モノコックボディー、ディーゼルターボ、そして15インチタイヤ
他メーカーのワンボックスとはひと味もふた味も違うデリカ
その独自路線化は2代目スターワゴンでさらに加速した
フレーム付きからモノコックへ 4×4としての素質が磨かれた
1979年に誕生したデリカが大きな変貌を遂げ、2代目に切り替わったのは1986年6月のこと。4×2も4×4も、ワゴンからトラックに至るまで一気にフルチェンジを受けたのだった。「スターワゴン」と名づけられた2代目デリカは、フォルテ4×4ベースの基本設計に決別。新しいボディーと当時最新のパジェロ用エンジンが与えられ、ワンボックス4×4の中ではナンバーワンの実力を発揮するに至った。
オフロードでの走りを強く意識した佇まい。まさに4×4らしい逞しさを感じるのは、当時としては大きめの15インチホイール、アプローチアングルとディパーチャーアングルをともに28度とする大きな対地障害角が与えられていたことだ。それらは、ワンボックスというデザインの制約がある中で時代を先取りするエレガントなボディーで包み込まれた。
このボディーは独立したフレームを持つ初代デリカとは180度異なるモノコックタイプ。フレームの機能をボディー側に埋め込んで、ボディーを大きくしながらも全高を抑え、乗降性を損なうことなく室内空間を拡大できたのだった。
初代ではフレームにつり下げられる臓物が多かった。そのため腰高に見えたボディーもオフロードを走る上で対地高が充分ではなかったのだ。この2代目では、サスペンションの構造が見直されてトーションバーの取り付け位置が高くなり、その他のパーツもフレームレスにともないレイアウトの自由度が増した。その結果スッキリとしたアンダーボディーを形成するのに成功している。
ただし横から見ると、エンジンやトランスミッションが張り出して見える。これは運転席の下にエンジンがマウントされるというワンボックス車の宿命だ。これでも初代に比べて約8もトランスファーの対地クリアランスが増していることに、賞賛の拍手を送るべきだろう。
デビュー当初、エンジンは2種類あった。2リッターの4気筒ガソリンと、新型サイクロン2.5リッターターボディーゼルだ。とりわけターボディーゼルは、乗員が多いトルクを発生し、ドライバビリティーは充分に確保されていた。ワンボックスの取り柄は移住性や積載性だけではないことをデリカ・スターワゴンは証明して見せたのだ。
トップギアで登坂を制覇
高速でも充分な安定性を確保
取材車両はディーゼルターボの4×4モデル。ステアリングを握ると、初代モデルより大人2名分ウエイトが増しているはずなのに、とても楽々と走り回れる。高いアイポイントのおかげもあって、混雑する幹線道路でもキビキビと運転でき、高速道路への合流でもスムーズ。
100km /hの巡航ともなると低音の効いた排気音が室内に侵入してくるが、そんな速度域でも加速のスムーズさは変わらない。長い登坂路でも、トップギアのまま楽々と登るし、1.7トンのボディーと節度感あるパワステのおかげで、クルージングは安定していて快適だ。
少々忙しく、そしてややラフなレーンチェンジを繰り返してみると、その横揺れには危険な様子は見られなかった。2tトラックと並ぶようなドライバーズシートだが、安定性では格段に高い。モノコックボディーは、走りにも良い影響を存分に与えていることがよくわかった。
シートは3列で、7名が余裕で過ごせる環境だ。脇役となりがちなドライバーも、初代より220mm 延びたボディーの中で従来比で5cmも脚を前方に伸ばせるし、スライド量も増え、ステアリングの角度も改善されたため、あらゆる体型にマッチできるようになった。走りも居住性もドライバーに優しく、その存在を際立たせるデリカは、他メーカーのワンボックス車とはワンボックス車とは一線を画したのだった。
ドライバーも充分楽しめるワンボックスのオフロードキング

対地障害角は前後とも28 度、最低地上高は210mm。およそワンボックス車とは思えないパジェロゆずりのオフロード向けボディーに、15インチタイヤが組み合わされて、想像以上のオフロード走破性を発揮する。

チルト機能を持つステアリングは比較的小径で足元にも余裕があるため、ドライバーは窮屈さを感じない。

シフトレバーの左にトランスファーレバー。無理のない位置に生えているため操作しやすい。

エンジンはターボチャージャーの力を借りて、ディーゼルの割りにキビキビとしたドライバビリティーを確保。

上級グレードのEXCEED では、左右独立の2 列目シートでこのような配置アレンジもできた。

ワンボックス4×4の礎、それが初代デリカだった。登場は1983年。エンジンは1.8
リッターガソリンで、最高出力は15kgm。

シンプルなデザイン 直線基調のインテリアデザインにはクセがなく、操作系の使い勝手も良好。ただし、ステアリングやシートの配置などにより、乗車姿勢はややトラック然としたものだった。

海外でも人気者 初代モデルは日常のドライブからレジャーに対応するファミリーカーとして北米をはじめ海外に送り込まれ、幅広い層から人気を集めた。
SPECIFICATIONS
- 車名/年式: デリカ スターワゴン2500 ディーゼルターボEXCEED (P05W)/1986年
- 全長×全幅×全高: 4,460 × 1,695 × 1,975mm
- ホイールベース: 2,240mm
- トレッド: 前/1,430mm 後/1,415mm
- 最低地上高: 210mm
- 車両重量: 1,740kg
- 乗車定員: 7名
- 形式: 水冷直列4 気筒OHC ターボディーゼル
- 総排気量: 2,476cc
- 内径×行程: 91.1 × 95.0mm
- 圧縮比: 21.0 :1
- 最高出力: 85PS/4,200rpm
- 最大トルク: 20kgm/2,000rpm
- 燃料/タンク容量: 軽油/60L
- トランスミッション形式: 5速MT
- 駆動方式: パートタイム4WD
- 副変速比: Hi : 1.000 Lo : 1.944
- 最終減速比: 4.875
- ステアリング形式: ラック&ピニオン
- サスペンション 前: ダブルウィッシュボーン式トーションバースプリング
- サスペンション 後: リジッドアクスル式リーフスプリング
- 主ブレーキ: 前: ベンチレーテッドディスク 後: リーディングトレーリングドラム
- タイヤサイズ: 215SR15
- 車両本体価格: 2,552,000円(当時)



