2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載

’70年代を席巻したスタイルの先駆け

ピックアップベースのフルサイズ4×4といえば
いまやアメヨンの代表格ともいえる存在として認知されているが
そのスタイルを最初に採り入れ、ヒットを飛ばしたのが
シボレー・ブレイザーであり、兄弟モデルのGMCジミーだった

ピックアップをベースに
シェルを付けて大変身を遂げる

 アメヨンといえばフルサイズ・モデル。そう連想する方は多いはず。現行モデルでもフルサイズを名乗るアメリカン4×4は少なくないが、すっかりスマートになってしまったそのスタイルからは、かつてのような武骨さや威圧感は感じられない。フルサイズがアツかった時代といえば、やはり’70〜’80年代だろう。

 そんなフルサイズ4×4が台頭したのが、’70年代初頭だ。パーソナル4×4としてヒットしていたアーリー・ブロンコを結果的に引退へと導き、フルモデルチェンジしたブロンコ自身をもフルサイズ化させてしまったのが、’70年に登場したシボレー・ブレイザーだった。

 GMCジミーは、その兄弟モデルとして同年にデビュー。Kシリーズ・ピックアップのキャビン後部パネルとルーフを取り去り、その代わりに樹脂製シェルを取り付けて、2ドアワゴン・スタイルとしたモデルだ。

 後に、日本でも同様の手法を採り入れたハイラックスサーフが、ピックアップ派生4×4として大成功を収めたが、本家アメリカでは’70年代から使われていた手法だったのだ。

 シャーシー&ボディーはKシリーズ・ピックアップそのままなので、メカニズム的には古典的とも言える構成だが、おおらかな2ドアワゴンボディーと4×4の組み合わせが人気を得たのだ。

 ジミーK10は、’73年にKシリーズ・ピックアップがボディーデザインを変更したのに連動して、同様のボディーを与えられた、ジミーとしては二代目にあたるモデルだ。

 取材車両は’77年モデル。丸形2灯ヘッドライトに角形ウインカーの組み合わせは変わらないものの、登場時には3分割だったグリルが’75年には6分割になり、’77年にはさらに10分割となった。

 ファットなタイヤとリフトアップ、その他レストア時に若干のモディファイが施されているものの、ボディーは’77年モデルのオリジナルをほぼ保った状態。むしろ、適度なモディファイによって、当時の雰囲気を感じることもできる。

ビレット・ステアリングと、パワーウインドゥの装着以外は、ほぼオリジナルを再現しているインパネまわり。

スピード&タコメーター、4つの補助メーターを配した上級グレードの「High Sierra」のインパネ。軽航空機のようなスタイルだ。

ドロドロとした重低音エキゾーストノートを期待していると、ちょっと裏切られる。意外にも洗練された排気音を奏でるのだ。

シートはモケットとレザーのコンビ表皮で、セパレートシート。ヘッドレストは装備されない。ちょっと小ぶりな感じだ。

トランスファーレバーのポジションはニュートラルを中心にLレンジ、Hレンジと、それぞれのロック・ポジションの計5ポジション。

ピックアップをベースとした、武骨なアメリカン4×4の原点だ

最高峰6.5リッターV8は
まるでトルクの化け物

 ’77年モデルのジミーK10に用意されたエンジンは、4リッター直6、そして5リッター、5.7リッター、6.5リッターのV8という計4タイプ。取材車両は、このうち最も大きな6.5リッターV8を搭載していた。最高出力175HP/3,600rpm、最大トルクは40.0kg-mという「トルクの化け物」である。エンジンルームがあまりに大きいため、中をのぞき込むとエンジンそのものが小さく見えてしまうが、実際には相当大きな「鉄の塊」だ。

 エンジンも大きければ、キャブも大きい。エアクリーナーのリッドを開けると、ロチェスター製4バレルダウンドラフトキャブが大きな口を開けている。アクセルを踏込めば、この巨大なキャブのセカンダリーバルブが開き、ズ太いトルクの盛り上がりを体感させてくれるのだ。

 あまりにも大きく、武骨なジミーを目の当たりにすると、「こんなの日本の道路じゃ乗れない」という印象を抱く方もあろうかと思うが、実はそんなことはない。

 トレッド幅に対してフロントセクションのフレームをグッと狭めることで、タイヤの切れ角を充分に確保。ホイールベースもランクル60より短く、ボディーのデカさに似合わず、意外に小回りが利くのだ。とはいえ、アメヨンの魅力は実用性よりも、独特の雰囲気にある。フルサイズが輝いていた時代のジミーは、いまもそのオーラを放ち続けている。

リアゲートのオーナメントを開くと展開されるクランクは、リアウインドゥの開閉ハンドル。ウインドゥを降ろしてから、ゲートを開く。

元がピックアップだけに、ラゲッジルームはとてつもなく広い。ヘタなワゴンやバンなど、とても相手にならない。

後部ボディーは樹脂製シェルによってカバーされる。シェル内部にはトリムは施されないが、しっかりした作りになっている。

ジミーK10に用意されたエンジン中、最大の排気量を誇った6.5リッターV8。2.7トンの重量級ボディーを楽に走らせる。

サスペンションは、トラディショナルなリジッド・リーフ。このクルマは4インチ程度のリフトアップが施されている。

リアサスペンションも、もちろんリジッド・リーフ式。メカニズム的には安価で頑丈なピックアップの良さを引き継いでいる。

四角くて無骨なスタイリングは、’70年代のアメリカンならでは。真っ白なボディーに、クロームメッキのモールがアクセントになっている。

SPECIFICATIONS

  • 車名/年式: GMC ・ジミー(K10)/1977 年
  • 全長×全幅×全高: 4,686 × 2,019 × 1,753mm
  • ホイールベース: 2,705mm
  • トレッド:  前/1,670mm 後/1,594mm
  • 最低地上高: 292mm
  • 車両重量: 2,744kg
  • 乗車定員: 5名
  • 形式: 水冷V型8気筒OHV
  • 総排気量: 6,555cc
  • 内径×行程: 104.9 × 95.3mm
  • 圧縮比:  8.5:1
  • 最高出力: 175HP/3,600rpm
  • 最大トルク: 40.0kg-m/2,800rpm
  • 燃料/タンク容量: ガソリン/95L
  • トランスミッション形式: 3速AT
  • 変速比:  1 速:3.06 / 2 速:1.63 / 3 速:1.00
  • 駆動方式:フルタイム4×4
  • 副変速比:  Hi : 1.00 Lo : 2.00
  • 最終減速比: 3.07
  • ステアリング形式: ボール・ナット式
  • サスペンション 前: リジッドアクスル式リーフスプリング 
  • サスペンション 後: リジッドアクスル式リーフスプリング
  • 主ブレーキ:  前: ディスク 後: ドラム
  • タイヤサイズ: H78-15 4PR
  • 車両価格: US $5,503〜5,603(当時)