開催日:2026年4月23日~7月30日

開催場所:マレーシア/クアラルンプール~タイ~ラオス~中国~モンゴル~ロシア/ウラジオストク

主催:Overland Explorer.net

PHOTO & TEXT:竹村吉史(YOSHIFUMI TAKEMURA)

壮大なスケールで走破する オーバーランダーの記録

オーバーランダーという言葉を聞いた事がある方も多いと思う。日本では一般的に、大きなタイヤを履いてグリルガードやルーフキャリアを装着したツーリング仕様の4×4がオバーランダー仕様などと呼ばれているが、オーバーランダー文化が育まれてきた国々では、国を跨いでロングツーリングを行うことを指している。そこで本物のオーバーランドを知るため、マレーシアからロシアまで走破するトランス・シベリア5に単身で参加することにした。

トランス・シベリア5は、マレーシアのクアラルンプールをスタート地とし、北上してタイおよびラオスを経由して中国の雲南省へ。そのまま北上してチベット自治区に入りミャンマーの北側を西に移動してラサまで移動、その後はダイナミックな青海省を北上して新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠を縦断しウルムチへ。タケシケンで国境を越えてモンゴルに入り、中国国境近くの大草原を走ったのちウランバートルに向かう。ウランバートルでナーダムを楽しんだら北上してロシアに入国。バイカル湖とイルクーツクの街を経て、極東のウラジオストクまで走るという壮大なオーバーランダーツーリングだ。

オーバーランダーは国を跨いで走るロングツーリングだが、クロカントレイルのように走破する事が目的ではなく、目的地までの行程、出来事全てを楽しむというスタイル。そのため、四駆乗りが斜に構えてしまいそうな観光地や博物館にも立ち寄り、宿泊はホテルを利用して宿が無いときにテント泊をする程度。耐える、我慢するのではなく、旅そのものを楽しむのが目的だからだ。移動に使う4×4もゴリゴリのクロスカントリー車ではなく、走破性と快適性、積載能力や整備性から選ばれるため、ランドクルーザー80や100が目立つ。カスタム内容も、僅かなリフトアップと1サイズアップしたタイヤを履き、ウインチやシュノーケル、ルーフラックが好みに応じて装備されている程度。派手なカスタマイズはトラブルの元で、現地でトラブルを起こしたときにパーツが供給されないというリスクも負う。至ってノーマル風な4×4だが、結果的に走破性が高い車ということになる。

このトランス・シベリア5のリーダーを務めるのは、マレーシアのクアラルンプール在住のタンゴことトーマス・フー氏。トーマス・フー氏は、35年以上にわたり、大陸横断系のオーバーランダーを率いてきたオーバーランダー・エクスプローラーのレジェンド。これまでも南米、北米、アフリカ、ユーラシアなどの遠征を実現してきた実力者でもある。一方でマレーシア・トロフィーというハードなジャングル走破イベントも開催するなど、ハードなユーザーからも信頼の高いナイスガイなのだ。

オーバーランダー・エクスプローラーは、コンボイで移動するのがベスト。トランス・シベリア5は、9台の車でコンボイとなった。

カザフスタンとロシア、モンゴルの国境近く、中国・新疆ウイグル自治区ブルチンのイルティシュ川にかかる美しいカナス塔橋。ロシアの街並みと変わらない市街が印象的だった。

モンゴルのゴビ砂漠で遭遇した駱駝と併走。こんな偶然や出来事はお金を出しても実現できない。感動、興奮、ドキドキなオーバーランディングなのだ。

ロシアの踏切でシベリア鉄道に遭遇。シベリア鉄道で最も景観が美しいと言われるバイカル湖畔でも、併走する事ができた。

オーバーランダーは走破性の高い4×4、壊れにくい事、部品入手が容易な事、長距離移動で負担が少ない事が重要となるため、大径タイヤやゴリゴリのクロカン車などは向いていない。

トーマス・フー氏

オフロード冒険家のトーマス氏(通称タンゴ)は、35年以上にわたり6大陸で46回もの大規模遠征経験を持つオーバーランダー・エクスプローラーのレジェンド。どんな局面に立たされようが、常に冷静に判断を下し、暖かな人柄で周囲の人々から慕われる真のリーダー。