TOYOTA LANDCRUISER 60系 1980-1989
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
マニアを惹き付けたFJの魔力
1984年、高級路線を突っ走るランクル60がマイナーチェンジ
カタログではディーゼルターボのハイグレードモデルが主役を張っていた
その隅っこに佇むFJ62Vが、マニアを魅了するとは誰も思わなかった・・・
ロクマルといえば丸目のFJだよね
「らしさ」があった時代のロクマルだ
1967(昭和42年)から13年間も続いたランドクルーザーのロングホイールベースモデル50系は、’80年にすべて新しい60系として登場した。
このとき載せられていたエンジンは、40系に搭載されていた3B型ディーゼルエンジンと、FJ56Vに搭載されていた2F型ガソリンエンジンだったが、2年後には2H型ディーゼルエンジンが加わる。そしてさらに2年後の’84年、2F型ガソリンエンジンは3F型に進化した。
取材車両のFJ62Vは、3F型エンジンが搭載された’85年モデル。Fというと、大排気量の古典的エンジンという既成概念があるが、イグニッションキーを捻ると、そんな気持ちはFサウンドとともに吹き飛ぶ。実に静かに、そして軽く吹け上げるのだ。この音をお聞かせできないのが残念だが、軽い中にも逞しさが十分に伝わるエンジン音である。
FJ62Vに乗り込んでの印象は、とにかく広い!今でこそ小型車枠を超える4×4は当たり前だが、それでも全幅1,800mmのロクマルは、装備が質素な分、閉塞感もなくて気持ちが良い。つまりロクマルは当時の国内販売車として珍しく、小型車枠を一切無視して作られた世界基準の「おおらかな4×4」だったのだ。もちろんこれが理由でロクマルオーナーになった人も多いだろう。
しかし乗ってみると、このでかさはさほど気にならないから不思議。このあたりをオーナーに聞くと「ドライバーがちょうどホイールベースの中間に位置しているから」とのこと。確かに最近のロングモデルはどれも前よりに位置している。「今のロング車は後ろを引きずっているような感じになるけど、ロクマルはそんな感じはない」と言う。
確かにボディーはでかいが、前後輪の位置が把握しやすく、このボディーサイズにしては前後の見切りはとてもいい。これに併せてパワーステアリングも装備されているので、街の中で乗り回すにも、それほど苦労することはないはずだ。
マニアに言わせれば、’89年に登場する角目4灯のロクマルはロクマルでなく、丸目2灯のロクマルまでがロクマルだという。理由は「丸目ロクマルのインパネデザインは角張ってて良かったけど、角目になったら丸みを帯びてしまった。これはロクマルらしくない」ということらしい。「やっぱりロクマルは丸目のFJだぜ!」とは、かなり過激な意見ではあるが、偽らざるFJ60ファンの言葉である。


走るのが楽しくなるクルマ
だからこそマニアを魅了する
1速にギアを入れてアイドリングでクラッチをつなぎ、アクセルペダルをグイっと踏み込んでやる。ドワーンというエンジン音とともに、5,000rpmまで刻み込まれたタコメーターは、あっという間に振り切られた。続いて2速にぶち込んだが、これまたあっという間にレッドゾーン・・・、そして3速へ・・・。この時すでにスピードメーターは80km/hを指していた。3速以降は軽くシフトアップし、5速80km/hで2,000rpm。エンジンはドゥルルルル・・・と静かに低く唸る。
さすがに2,730mmのロングホイールベース。直進性に優れ、その名にふさわしく余裕のクルージングが可能。しかも期待していなかったワインディングロードでも、予想以上の回頭性でカチッと回ってくれた。
ステージをオフロードへと変える。行く手に続く約20度ほどのヒルクライムは、ご丁寧にも起伏が激しく、しかもぬかるんでいる。約2倍の減速比を持つローレンジにシフト、セカンド発進で試みる。最初は吹き抜けの良いエンジンのため、あっという間に4輪が空転・・・。そこで次はエンスト寸前まで回転数を落としてアクセルペダルを踏みこんだのだが、ディーゼルエンジンのような粘りでヒルクライムを登り切ってしまった。咆哮をまき散らしながら飛んでいくかと思えば、不気味なまでに静かに低く唸け、ドロッとした粘りも見せる。これこそが3Fの持ち味で、F62Vの魅力に他ならない。

粘りのあるエンジンは、極低速走行が強いられるクロカンにも応じてくれる。デカイ車体がグイグイとモーグル地帯を登る様は、かなりの迫力。

装備が質素な分だけスペースを空間に充てられているため、余裕の広さが感じられるロクマルの車内。もちろん、装備は必要にして充分。

角張ったインテリアデザインと丸形メーターが織りなす雰囲気にマニアは惚れ、前期型丸目2灯ロクマルにこだわる。

大きな開口部を誇るリアゲート。上下開きは雨天時に重宝するが、荷物の積み卸しなら観音式に軍配が挙がる。

このFJ62Vはオーナーの好みに応じて、HJ61Vのスプリングと少し固めの社外品ダンバーが装備されている。

トレッドに対してフレーム幅が狭いロクマルは、かなりオーバーサイズのタイヤも装着できる余裕がある。

2Fから排気量が減らされたが、ショートストローク化とキャブレターの見直しなどでパワーは向上した。キャブレターのアイシングと付き合うのもマニアっぽい。

観音ドア&ロールーフスタイルを、「玄人らしくカッコイイ」とマニア達に植え付けたのは、まさしくこのFJ60だった。

BJ61V-MM
3B型3.5リッター直4ディーゼルエンジンを搭載したGXには、STDのFJ62Vと同じロールーフが設定された。しかしバックドアは洒落た上下開きだった。

HJ60V-PMZ
2H型4リッター直6ディーゼルエンジンを搭載したGXが、当時ロクマルのフラッグシップモデル。4速AT、ハイルーフ、高級装備で憧れの車となった。
SPECIFICATIONS
- 車名/年式 トヨタランドクルーザー60 STD (FJ62V) /1985年
- 全長×全幅×全高 4,730×1,800×1,825mm
- ホイールベース 2,730mm
- トレッド 前/1,475mm 後/1,460mm
- 最低地上高 210mm
- 車両重量 1,910kg
- 乗車定員 5名
- 形式 水冷V型6気筒OHV ガソリン
- 総排気量 3,955cc
- 内径×行程 94.0×95.0mm
- 圧縮比 8.1:1
- 最高出力 155PS/4,200rpm
- 最大トルク 30.0kgm/2,200rpm
- 燃料/タンク容量 無鉛レギュラーガソリン/90l
- トランスミッション形式 5速AT
- 駆動方式 パートタイム4×4
- 副変速比 Hi:1.000 Lo:1.960
- 最終減速比 3.700
- ステアリング形式 ボール・ナット
- サスペンション 前:リジッドアスクル式リーフスプリング
- サスペンション 後:リジッドアスクル式リーフスプリング
- 主ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク 後:リーディングトレーリング
- タイヤサイズ 7.00-15-8(リブタイヤ)
- 車両本体価格 1,916,000円(当時)



