TOYOTA LAND CRUISER FJ56V 1975-1980
2006年 HISTORIC4x4GRAFFITI掲載
本格ステーションワゴン第一弾
ロクマル、ハチマルへと続くステーションワゴンのハシリ
市場未成熟の日本では“作業車” から離脱できなかったが
スタイリングは立派に自家用車のレベルにあった
もちろん“F” の魅力も存分に味わえた
派生車からオリジナルへ 乗用車として踏み出したロング
FJ55VとFJ56Vは、後の60系、80系へと発展するステーションワゴンの地歩を固めたロングホイールベースのランドクルーザーだ。
1960年に登場した初代40系のFJ40/43と同時に開発が進められ、その誕生の直前に発売されたFJ35Vがランドクルーザーで初となるロングホイールベース車。FJ35Vはその年のうちにFJ45Vへと変わったが、その2台のマスクはともに40系のものだったし、ボディー形状も40系の延長上にあった。つまりこの時点では、あくまでも40系のロング版という印象が強いものでしかなかったのだ。
後にFJ45Vは’67年に全面改良され、FJ55Vへと進化してマスクが独自のものとなり、さらにエンジンなどの変更を受けて’75年にバトンを受け取ったのが、このFJ56Vというわけだ。
45から55へ。トラック然とした40系のスタイルから一転してステーションワゴンらしい形になったのは、アメリカ市場でステーションワゴンを使ったレジャーが盛んになってきたせいだ。ワークホースからパーソナルユースへと、ランドクルーザーにも大変身が求められていたのである。
そのため、FJ55Vの開発にあたっては、ランドクルーザーとしては初めてカーデザイナー(社内スタッフ) によってボディーラインが描かれた。ガレージに置かれ、ドライブに出かけると多くの目に触れる自家用車となるからこそ、商用車のイメージは拭い去りたかったのだ。
FJ56Vのエンジンは直列6気筒4,230ccの2F型で、FJ55Vに搭載されていたF型のスケールアップ版だ。最高出力140PS、最大トルク30kg-mで、F型より10PSアップのパワーは約2tのボディーをさらに軽く感じさせるものだった。また最大トルクはF型と同値ではあったが、発生回転数が下がってわずか1,800rpmでピークトルクを解き放つようになった。市外での取り回しが楽になり、人や荷物をたくさん積んで出かけてもヘコ垂れることはない。
ただし日本では、その時点ではまだランドクルーザーが自家用車として受け入れられる土壌はなく、エンジンはともかく、トラックとしての扱いに耐えられるだけの足腰が与えられていて、乗り心地はお世辞にも快適とはいえなかった。

「F」あってのランドクルーザー 未舗装路ではご用心
アメリカでは乗用車としてのステーションワゴン、日本では商用車としてのバン。現実的にこの差は大きかったが、本当の2tトラックなどと比べればだいぶ快適ではあった。長いホイールベースと、短いフロントオーバーハングのために、ブレーキング時のフロントの沈み込みや不整路でのピッチング、バウンシングなどは目立つほどではなかった。用心が必要だったのは、未舗装路を空荷でスピードを出すこと。小さなギャップでもドライバーはシートの上でポンポンと跳ねてしまうほどだった。
操作系の重さは強烈で、生半可な腕では扱いきれないほどのクセがあった。ステアリングやクラッチは、もちろんノンアシスト。おまけにホールド感が皆無のシートだから、交差点の多い市街では落ち着いてステアリングを握っていられない。
乗り心地や操作系のスパルタンさにさらされるドライバーの助けになったのはエンジンだった。トルクフルで頼もしいだけでなく、どんな走りにも対応する柔軟さを持っていた。ピークパワーを3,600rpmで発生するとほぼ同時に頭打ちとなってしまうが、もともとそんなに回す必要はない。2,000rpmを上限にギアチェンジを繰り返せば、それだけで市街地から高速道路までカバーできる。
少なくとも日本仕様において、アカ抜けたボディーに似合って洗練度の高さが認められたのは、唯一2F型エンジンだった。やはり「F」あってのランドクルーザー。この関係は後々しばらく続くのだった。

硬いゆえに動かないサスペンション。単純に500kg 積みのトラックと考えれば何ら不思議なことではない。耐久性も期待できる。

安全対策のため衝撃吸収パッドがかぶさるインパネ。直線基調でシンプルで飽きがこない形。ステアリングはノンアシストだ。

6気筒で4.2リッターもの排気量は、当時の乗用車では考えられない大きさだった。もちろん実力は排気量相応。意外に扱いやすいとの評判だった。

ベンチシートは多人数乗車が目的。ホールド感が乏しく落ち着かないので重いハンドルを回すのもひと苦労。

商用車登録となるため、後席を起こした状態でも、ボディーの大きさ相応に荷室は広い。床の鉄板は頑丈だ。

後席を倒せば、誰からも文句の出ない空間が広がる。外観を見なければトラックと変わらないつくり。
ベンチシートにコラムシフトでパワステなし運転はラクではないがクセが楽しい


ヨンマル顔のFJ45V 40系からの派生車。トラックとしてはこの形で良かったが、アメリカ向けにステーションワゴンとしてのモデルチェンジが迫られていた。


乗用車としてのFJ55V 自家用車として発売されたアメリカでは大歓迎。日本では作業車としての歴史を刻むことに…。カラーリングからムース(ヘラジカ)の名が付いた。
SPECIFICATIONS
- 車名/年式 トヨタランドクルーザー(FJ56V)/1978年
- 全長×全幅×全高 4,675×1,735×1,865mm
- ホイールベース 2,700mm
- トレッド 前/1,415mm 後/1,400mm
- 最低地上高 210mm
- 車両重量 1,935kg
- 乗車定員 2(5)名
- 形式 水冷直列6気筒OHV ガソリン
- 総排気量 4,230cc
- 内径×行程 94.0×101.6mm
- 圧縮比 7.8:1
- 最高出力 140PS/3,600rpm
- 最大トルク 30.0kg-m/3,600rpm
- 燃料/タンク容量 無鉛ガソリン/82L
- トランスミッション形式 4速MT
- 変速比 1速:4.925 / 2速:2.643 / 3速:1.519 / 4速:1.000
- 駆動方式 パートタイム4×4
- 副変速比 Hi:1.000 Lo:1.959
- 最終減速比 3.700
- ステアリング形式 ボール・ナット式
- サスペンション 前 リジッドアクスル式リーフスプリング
- サスペンション 後 リジッドアクスル式リーフスプリング
- 主ブレーキ 前:ドラム 後:ドラム
- タイヤサイズ 7.00-15
- 車両本体価格 1,563,000円(当時)



